相続税を納付するのは100人に4人のみ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2010.11.29


課税相続財産の概要

相続税は、被相続人の財産を相続した相続人が納付します。課税対象となる相続財産は、(プラスの財産ーマイナスの財産ー非課税財産等)-基礎控除額で求めます。

基礎控除額は、現行は(5,000万円+1,000万円×法定相続人数)となり、相続人が妻と子供2人であれば、5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円です。
このケースであれば、課税相続財産が8,000万円以下であれば、基本相続税はかかりません。

相続税の課税割合

バブル期以後は、相続税の課税割合(年間課税件数/年間死亡者数)及び税収ともに減少傾向にあります。課税割合ですが、昭和58年は5.3%、昭和62年は7.9%、平成3年は6.8%、平成5年は6%、平成20年は4.2%というように、最近はバブル期以前よりも低い水準となっていることがわかります。

相続税は、資産の再配分機能を持っており、相続税を課税することで格差を是正する働きを担っている税目です。どのような経緯で、課税割合が下ってきたのかを説明している資料がありますのでご紹介します。


~平成22年税制改正大綱(妙)からの抜粋~
「相続税は格差是正の観点から、非常に重要な税です。バブル期の地価急騰に伴い、相続税の対象者が急激に広がったことから、基礎控除の引上げや小規模宅地等の課税の特例の拡充により、対象者を抑制する等の改正が行われました。

バブル崩壊後、地価が下落したにもかかわらず、基礎控除の引下げ等は行われてきませんでした。そのため、相続税は100人に4人しか負担しないという構造となり、最高税率の引下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、再配分機能が
果たせているとは言えません。(略)

今後、格差是正の観点から、相続税の課税ベース、税率構造の見直しについて平成23年度税制改正を目指します」

基礎控除額と地価公示の推移

基礎控除額は、その時代背景により推移しております。

昭和62年    2,000万円+400万円×法定相続人数  

昭和63年1/1以降 4,000万円+800万円×法定相続人数  

平成4年1/1以降 4,800万円+950万円×法定相続人数  

平成6年1/1以降 5,000万円+1,000万円×法定相続人数  

また、地価公示は、三大都市圏商業地の昭和58年を100とし、昭和62年は157.1、平成3年は336.8、平成5年は244.1、平成14年は80.7、平成22年は72.9となり、地価公示はバブル以前より低くなっています。

改正はあるのか?

実は、現在、税制調査会等で相続税について、増税の方向で議論が進んでいます。
小規模宅地等の課税の特例について増税改正(平成22年度)が行われ、相続税の計算が狂ったと慌てた資産家もいらっしゃるでしょう。

さらに基礎控除額の見直しは、課税対象を広げる増税改正となります。税制は生き物です。現行で万全の相続対策を練っていたとしても、税制が変われば、見直しが必要となります。

平成23年税制改正大綱の発表まであと1ヶ月。火のないところから煙は立ちません。
税制調査会で議論されているということは、改正の可能性もありということです。(現段階では、決定事項ではありません)

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№210


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