相続登記、3年以内に義務化へ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2021.08.02


所有者不明土地は全体の2割

令和3年4月21日に,「民法等の一部を改正する法律」及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立しました。

現在、不動産登記簿等の所有者台帳により所有者が判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地は、全体の約2割あるといわれており、社会問題となっています。

そもそも相続登記が義務ではないことに加えて、遺産分割をしないまま相続が繰り返されて、土地共有者がねずみ算式に増加していることなどが、背景にあります。

この所有者不明土地の問題に対処するためにできたのが、冒頭の法律です。

柱は大きく3つあります。

1.不動産登記制度の見直し

<発生予防=登記がされるようにするため>
・相続登記、住所変更登記の申請義務化
・相続登記、住所変更登記の手続きの簡素化、合理化 など

2.相続土地国庫帰属制度の創設

<発生予防=土地を手放せるようにするため>
・相続等により土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設

3.土地利用に関連する民法の規律の見直し

<土地利用の円滑化>
・所有者不明土地管理制度等の創設
・共有者が不明な場合の共有地の利用の円滑化
・長期間経過後の遺産分割の見直し など

※施行日等
原則として公布(R3.4.28)後2年以内の政令で定める日(政令は未制定)

ただし、1のうち、相続登記義務化関係の改正については公布後3年以内の政令で定める日、住所変更登記義務化関係の改正については公布後5年以内の政令で定める日

そのうち、今回は1の「不動産登記制度の見直し」中の「相続登記の義務化」について、ご紹介します。

「所有不動産記録証明制度」など各種推進策も導入

まず、不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をすることが義務付けられ、正当な理由のない申請もれには、10万円以下の罰金が科せられます。

また、相続登記の申請義務の実効性を確保するため、主に以下の3つが導入されます。

(1)相続人申告登記の新設

相続人が登記名義人の法定相続人である旨を法務局に申し出ることで、申請義務を履行したことになります。遺産分割協議が長引き、すぐに登記できない場合などの利用が想定されています。

最終的には、正式な登記をする必要がありますが、その際にも単独で相続登記することができ、添付書面も簡略化されるなどのメリットがあります。

(2)登記手続の費用負担軽減

登録免許税の負担軽減策の導入などを要望する、となっています。
(現時点では未決定)

(3)所有不動産記録証明制度の新設

特定の者が名義人となっている不動産の一覧を証明書として発行する制度が新
設されます。

(3)については、現在、所有不動産を確認する方法として、各自治体で発行される固定資産台帳(名寄帳)がありますが、自治体ごとに調べる必要があり、そもそも所在を知らない土地については調べようがありませんでしたが、この制度ができれば、不動産の一覧が簡単に把握できるようになるかもしれません。

なお、今後は、登記官が他の公的機関から死亡等の情報を取得し、職権で登記に表示(符号で表示)するようになるため、登記で登記名義人の死亡の有無が確認できるようになります。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№755


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