その相続対策、間違っていませんか?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2012.09.03


3つの相続対策

8/10に社会保障と税の一体改革関連法案が成立し、消費税増税が決まりました。
しかし、これで全てがきれいに決まったわけではなく、相続税や所得税の改正については、当初の法案から削除されています。

これらについては、年末の平成25年度税制改正の中で、議論される予定ですが、特に相続税の改正については、以前から基礎控除の引き下げなどが項目として挙がっています。実施されればその影響も大きいため、改正の行方が注目されています。

巷でも、相続税や相続対策についての話題をよく見かけるようになってきました。

では、具体的に相続対策というと、どんな対策があるのでしょうか。
主に下記の3つの対策がその柱になります。

1.分割対策
2.納税対策
3.節税対策

1つ目は、分割対策です。

相続が発生すると、被相続人の財産を相続人が協議の上、それぞれ分割して取得することになります。相続では、この遺産分割ができないと、手続きが前に進みません。
相続税においては、遺産が未分割の状態であると、適用できない優遇規定があります。優遇規定が適用できなければ、相続税負担が増えてしまいます。

また、被相続人の預貯金は相続発生後、凍結されてしまいますが、その凍結を解除する場合にも、実務上は遺産分割協議書等を要求される場合が多く、そのままの状態では、その預貯金を利用できない可能性があります。

2つ目は、納税対策です。

相続税が発生した場合、原則は現金一括納付となります。現金一括納付が困難な場合には、延納や物納といった制度もありますが、これらの制度を利用するためのハードルは結構高く、実務上はなかなか使えない場合が多いのが現状です。

そのためにも、何らかの形で納税資金を準備しておくことが重要になります。

3つ目は、節税対策です。

これは言うまでもなく、相続税の納税負担を減らすためのものです。時間に余裕があれば生前贈与などで財産を減らす、より評価額の低い財産に組み替えるなどの方法があります。

相続対策の優先順位

一般的な相続対策というと、3つ目の節税対策をイメージされる方が多いと思います。しかし、相続対策における優先順位では、節税対策は一番下です。

では、相続対策は何から優先すべきでしょうか。その順番は、上でご紹介した順になります。つまり、分割対策→納税対策→節税対策の順番です。
繰り返しになりますが、相続においては、とにかく遺産が分割できないとどうにもなりません。いわゆる”争族”問題も、この分割を巡って起こります。

例えば、主な財産は自宅のみ、相続人は3人、相続税はかからないといった場合でも、その自宅をどう分割するかでもめるケースはたくさんあります。

常に、遺産分割をイメージして相続対策を考えておくことが大切です。

分割ができれば、今度は納税です。極論を言えば、相続税が多少高くても、その相続税を納税できるだけの資金があれば、納税はできます。
いくら節税対策をして、相続税を圧縮したとしても、その圧縮後の相続税を払うための納税資金がないのでは困ります。優先順位が逆なのです。節税対策よりも、納税対策を先に考えなくてはいけません。

この2つの対策ができて初めて、節税対策の出番となります。

ただし、実務上は節税対策をすると、分割対策、納税対策がうまくいかないといった場合もありますので、そのあたりは上手にバランスを取って行う必要があります。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№300


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