自社の株価はいくら?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


類似業種比準価額と純資産価額

会社の社歴がだんだん長くなり、社長である自分の年齢もそれなりになってくると、自社の株価がいくらなのかが気になってきます。

上場会社の場合は、簡単に株価がわかりますが、非上場の同族会社の場合、株価を計算するのは少々大変です(ここでの株価は、相続・贈与で使用する税務上の株価とします)。ひと口でこうです、というのは難しいのですが、今回はざっくりとポイントだけでもお伝えできればと思います。

税務上、株価の計算方式は3種類あります。「純資産価額」、「類似業種比準価額」と「配当還元価額」です。このうち「配当還元価額」は、少数株主に適用される計算方式です。同族会社のオーナーという立場で考えると、計算方式は「純資産価額」と「類似業種比準価額」の2つになります。

「純資産価額」は、その名の通り、会社の純資産を基に計算する方法です。ただし、決算書の純資産をそのまま使うわけではなく、資産を全て時価評価(財産評価基本通達に応じて算定した金額)して計算し直します。

この場合、含み損や含み益を抱える資産がある場合は、決算書上の純資産と大きく金額が変わってくることもあります。

また、決算書に載っていなくても、評価対象となる資産もあります。例えば、借地権や生命保険の解約返戻金、営業権などです。これらの資産の有無によっても、純資産価額は変わってきます。

「類似業種比準価額」は、自社の配当、利益、純資産を同業種の上場株式と比較し、その比率等を上場株式の株価に掛けて計算する方法です。同業種の上場株式の株価を修正する形で計算しますので、株価は上場株式の株価に連動します。

「類似業種比準価額」では、利益のみ3倍にして加重平均されますので、利益の増減が最も株価に影響することになります。

会社の規模によって、株価が変わる

この2つの計算方式は、どちらか一方のみで計算する場合もありますが、両者の折衷で株価が決まる場合もあります。それは、その計算対象となる会社の規模によって決まります。

会社の規模は、大会社、中会社、小会社の3つがあり、中会社はさらに3つの区分に分かれます。この合計5つの区分の中のどれに該当するかで、株価の計算方式が決まります。

大会社→類似業種比準価額と純資産価額のいずれか低い方

中会社→①と②のいずれか低い方
①類似業種比準価額×L+純資産価額×(1-L)
(Lは0.90、0.75、0.60のいずれか)
②純資産価額

小会社→①と②のいずれか低い方
①類似業種比準価額×0.5+純資産価額×0.5
②純資産価額

従業員数が100人以上の会社は自動的に大会社になりますが、100人未満の場合には、取引金額(売上高)、総資産価額、従業員数によって決まります。

ただし、土地や株式を多く所有する会社、開業後3年未満の会社などでは、上記の計算方式が使えず、純資産価額が強制されるケースもあります。

自社の会社区分ぐらいは、知っておいてもいいかもしれません。

類似業種比準価額をうまく活用する

純資産価額は、基本的にこれまでの利益の蓄積ですので、社歴が長くなると高くなる傾向にあり、一朝一夕で下げることは困難です。
一方、類似業種比準価額の計算では、利益が重視されていますので、短期的に利益を減らすことができれば、株価を下げることができます。

そういう意味では、類似業種比準価額の方が比較的扱いやすく、実際、純資産価額より低くなるケースが多いです。

こういうおおまかな株価計算の構造をわかっておくと、事業承継時などに今後のイメージがしやすいのではないかと思います。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№318


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