【税制改正】4年落ちのベンツは、全額経費?
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
今回は、平成19年度税制改正項目より、「減価償却制度の改正」についてお届けします。
もくじ
減価償却とは?
まず経営者の皆さんに知っておいてほしいのは、現在では原則30万円以上のものを購入した場合には、そのかかった支出金額は、「費用」にならず「資産」に計上しなければならないということです。
それでは、その資産に計上されたものはどうやって費用化されるのでしょうか?
実は、そのときに活用するのが「減価償却」という計算方法になります。
つまり、原則30万円以上のものを購入した場合、そのかかった支出金額を「減価償却」を通じて費用化されることになります。
それぞれの資産には、耐用年数というものが決められていますので、例えば30万円以上の耐用年数4年のパソコンを購入した場合、その支出金額というのは4年間で減価償却を通じて費用化されるということになります。
ちなみに逆にいうと、車やパソコンなど見た目がいくら資産であっても、その価額が30万円未満(注)であれば、全額一気に費用計上が出来るということです。
このことは、経営者としてはぜひ知っておいてほしいことになります。
(注)但し資本金が1億円以下の青色申告法人である等一定の要件があります。
改正されました
その減価償却の計算方法が改正されました。
【平成19年度改正項目】
1.新規設備投資について100%償却を可能に
この制度では、平成19年4月1日以後取得の新規取得資産について、法定耐用年数経過時点で、1円の備忘価額を残して取得価額全額償却できるようになりました。そしてこれにともない、250%定率法が導入されました。
2.既存設備投資については、今後5年間で100%償却可能に
この制度では、平成19年3月31日以前取得の既存資産について、償却可能限度額(95%)まで償却が進んだ後翌年度から5年間で1円の備忘価額を残して全額(100%)償却できるようになりました。
3. 耐用年数の短縮
技術進歩が激しいIT分野における一定資産の耐用年数が短縮されました。
定率法の償却率アップ
詳しい改正内容は、追々このメール通信などを通じてご案内していきますが、今回は特に1番目の改正項目に注目します。
ここで、250%定率法という減価償却方法が導入されることになりました。
これはどういうことかというと、「定率法の減価償却率は定額法の減価償却率を2.5倍したものとする」ということです。
これは結果、定率法の減価償却率が大幅にアップしたことになります。
つまり費用化される額が大きくなったということです。
もちろん経営者にとっては、良い改正といえます。
具体的には以下の通りです。
<定率法減価償却率>
耐用年数 | 旧償却率 | 新償却率 |
2年 | 0.684 | 1.000 |
3年 | 0.536 | 0.833 |
4年 | 0.438 | 0.625 |
5年 | 0.369 | 0.500 |
6年 | 0.319 | 0.417 |
4年落ちのベンツは、全額経費?
さらにここで注目してほしいのは、耐用年数2年の定率法減価償却率です。
なんと、改正後では、1.00となっています。
つまり、その会社の事業年度初めで資産を購入した場合、たとえ30万円以上であってもその事業年度で全額経費に出来る(1円の備忘価額は残ります)ということです。
それでは、耐用年数2年の資産って何があるのでしょうか?
調べてみると、普通の会社で発生するものはほとんどありません。
しかーし、減価償却においては「中古資産」というのは耐用年数の短縮が認められているのです。
具体的には、通常6年の耐用年数であるベンツという車も4年落ちの中古ベンツとなると、なんと耐用年数は2年になるのです!
ということは、つまり、その会社の事業年度初めで4年落ちの中古ベンツを購入した場合、1円の備忘価額を残してその事業年度で全額経費になる、ということです。
例えそのベンツが600万円と高額であっても、です。
もちろんだからといって、4年落ちのベンツを皆さん買ってくださいということでは全くありませんので、その点はご了解くださいね。
無駄遣いはよくないですよ。
私が経営者の皆様にこのコラムを通じてお伝えしたいのは、「減価償却制度が納税者にとって有利に改正されました」ということと、それに伴って、「例えば中古資産などの場合で、耐用年数が2年となれば、その年に1円の備忘価額を残して全額が費用計上できるようになりました」ということです。
この話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。
メール通信№33
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