人材・IT投資に、税額控除の可能性

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


お盆の時期ですのでお休みの方も多いと思いますが、今回は2007/8/12日経新聞掲載の記事についてお届けします。

中小企業向け優遇税制の拡充

2007年8月12日の日経新聞に、「経済産業省の来年2008年税制改正要望事項」が掲載されていました。

内容は、ズバリ「中小企業向けの優遇税制拡充」です!
優遇税制の拡充策としては、2つ書いています。

1.人材投資促進税制の要件緩和
2.情報基盤強化税制の要件緩和

利用実態は年数十億円どまり

平成17年4月1日から、従業員に教育費をかけた場合に節税となる「人材投資促進税制」がスタートしました。
しかし、現在までの中小企業300万社の利用実態は、年間数十億円にとどまっているようです。

その理由は明確で、要件が厳しいからです。

特に厳しい要件としては、年間教育費が前年に比べて増加しないといけないという部分です。
ということは、現行の「人材投資促進税制」では、毎年従業員教育費を増やしていかないと、減税を享受できないことになります。

かけた教育費×10%を税額控除案

経済産業省ではこれではいけないと考え、人材投資が毎年増えなくても、企業が従業員にかけた教育費の10%を税額控除できるように求めるようです。
これであると、例えば、年間100万円の従業員教育費(例えばセミナー参加費用など)をかけた企業は、100万円×10%=10万円の税額控除が受けられることになります(税額控除額の上限は設定されるかもしれませんが)。

またこれは従来からそうなのですが、従業員教育費は全額費用となりますので、100万円×40%(法人税等の実効税率)=40万円は払うべき税金が減ります。

結果、従業員教育費100万円ー(10万円+40万円)=50万円となります。
つまり、実質企業が負担する従業員教育費用は50万円で済んだことになります。

情報基盤強化税制

また、中小企業のIT投資を促進しようと、平成18年4月1日から「情報基盤強化税制」がスタートしました。

この制度では、高度な情報セキュリティが確保された情報システム(そのためのOSやデータベース管理ソフト、ファイアウォールなどが対象)を企業が導入した場合に、投資額の7%が税額控除できることになっています。

しかし、年間投資額が300万円以上でないと適用を受けられません。

バーを下げる案

そこで、経済産業省では、年間投資額のバーを300万円から70万円に下げる案が浮上しているようです。
これであると、一般の中小企業でも対象となる可能性が出てくるでしょう。

ちなみに、この情報基盤強化税制では、リースの場合も税額控除を認めているのですが、現行そのバーは420万円以上となっています。

同様に経済産業省案では、そのバーを100万円に引き下げることになっています。

しかしこれは決定ではない!

しかし、こういった税金報道で特に経営者として注意しないといけないのは、その記事の正確性です。
今回の場合、記事そのものはほぼ正確であるといえますが、大事なのは(記事にもきちんと書いているのですが)、これは決定ではないということです。

つまり、あくまで国の一部署である経済産業省が、(自分のところの省益を守るなどの理由も含んで)、税制改正の要望を出したに過ぎないということです。

それでは、今回の内容がほぼ決定するのはいつかというと、今年の年末12/15頃です。

2007年12月15日頃に発表される「自民党税制改正大綱」において、どう書かれているかでおおまかには決定されます。
本当の最終決定は、その翌年の国会審議(2008年3月頃)においてとなります。

この話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№42


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