脱税の手口(金の密輸で消費税還付)と税制改正

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


金地金にまつわる消費税の基礎

金地金(きんじがね、きんじきん)とは、金の延べ棒とかインゴットとか、ゴールドバー等といわれますが、要は、金の塊でこんなものです。
https://gold.tanaka.co.jp/commodity/shohin/g_coin.html

日本国内での金の売買には、消費税が課税されます。
例えば、税抜き1億円の金の売買では、消費税8%で1億800万円、今年10月からの10%になると1億1,000万円となります。日本の消費税は、「日本国内での使用消費」に課税しますので、「輸入は課税」、「輸出は免税」となります。

では、密輸は?

金を海外から輸入すると消費税がかかりますが、それを密輸すると、結果として消費税がかかりません。
これが、下記の脱税の手口のカラクリの肝になっています。

具体的な脱税の手口

登場人物(会社)は、3つ。
海外の金買取業者
金の密輸業者
日本の金買取業者

まずは、海外(香港など金非課税地域)で金買取業者から密輸業者が、例えば1億円で金を買い取ります。次に、その金を密輸し、日本国内で、日本の金買取業者に金を1億800万円(消費税8%)で売却します。更には、日本の金買取業者が上記の海外の金買取業者へ1億円(輸出免税)で輸出売却します。最後に、日本の金買取業者が日本の税務署へ、消費税の還付を行います。

このとき、輸出免税のため売上に係る預かり消費税は0円で、密輸業者から買い取った時の支払い消費税が800万円で、その差額が800万円となり、原則的にはこの800万円が日本の金買取業者へ還付されます。

それぞれの収支

上記を数字面で、整理すると下記となります。

<海外の金買取業者>
1億円ー1億円=0円

<密輸業者>
1億800万円ー1億円=800万円の儲け

<日本の金買取業者>
1億円ー1億800万円+消費税還付800万円=0円

ちなみに、上記3社は通常グルですので、全体で800万円儲かったということになります。今年の10月からは、消費税が8%から10%へ増税される予定ですので、儲けが800万円から1,000万円となります。

そこで、税制改正の登場!

これは流石に規制が必要ですので、昨年の税制改正大綱にて下記となります。

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金地金等の密輸に対応するための消費税における仕入税額控除制度の見直し

1.密輸品と知りながら行った課税仕入れについて、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。

2.金又は白金の地金の課税仕入れについて、本人確認書類の写しの保存を仕入税額控除の要件に加える。

(注)上記1の改正は平成31年4月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、上記2の改正は同年10月1日以後に国内において事業者が行う課税仕入れについて、それぞれ適用する。
===================================

※税制改正については、国会を通過するまでは確定事項ではありませんので、ご留意ください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№626


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