平成20年度税制改正大綱

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


さて、今回は、先日自民党から発表された平成20年度税制改正大綱のうち特に
中小企業経営者に関係する内容をお知らせします。

※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な確定事項ではありません。
今後の国会審議動向により、内容が変更することがありますのでご了承ください。

朗報!中小企業事業承継税制の抜本拡充

中小企業の事業承継において問題になるのが自社株式評価の高騰です。

中小企業の場合は、会社の純資産額を一つの評価基準として株式を評価していきます。
そのため含み益の大きい会社であれば株価は何十万円にもなり、相続税負担のため事業そのものの継続さえ難しい場合もでてきます。

そこで、相続等により取得した自社株の評価について現行の10%減額から80%納税猶予に大幅に拡充するとともに、対象も中小企業全般に拡大することとしています。

ただし、納税猶予ですからこの適用に際しては厳しい条件がつきます。その条件とは、具体的には5年間の事業継続、代表者であること、雇用の8割以上の維持、相続した対象株式の継続保有などがあります。

朗報!中小農商工連携促進法(仮称)の創設

地域間格差の拡大が深刻な状況となり、地域の自律的な経済発展基盤の構築のために税制面でも手立てがされる予定です。

農林水産省と中小企業者が連携し、商品等の開発、生産等を行なうための設備投資額に対し7%の税額控除又は30%の特別償却が認められることとしています。

朗報!少額減価償却資産の特例の延長

資本金1億円以下の中小事業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合の全額費用処理できる制度の適用期限が2年間延長される予定です。

この通り国会可決されると、平成22年3月31日までの間に取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合は、年間300万円を限度として費用処理が可能となります。

朗報!人材投資促進税制の拡充

現行の人材投資促進税制は、当期の教育訓練費が過去2期における教育訓練費の平均額より増加している場合に、当期の教育訓練費×増加率(20%限度)を税額控除してあげましょうという制度です。

これは、過去の2期に比し当期が増加していないと適用できないため使い勝手の悪い制度と言われています。そこで、日本の中小企業の生産性向上・成長・底上げのためには人材投資の加速が不可欠であるため、今回増加要件の廃止が明記されています。

改正後は、中小企業については単年度の労働費用に占める教育訓練費の割合が一定水準(0.15%)以上の場合、教育訓練費の8~12%相当額を税額控除することができることとなります。

労働費用とは、給与・法定福利費・教育訓練費の合計です。例えば、一人当たりの労働費用を450万円とするとその0.15%相当額は6750円です。従業員10人の会社であれば総額67500円以上支出すれば、この税額控除が適用できることになります。

その他

・中小企業投資促進税制
⇒中小企業のIT・ソフトウェア等への投資に対して特別償却30%又は税額控除7%を選択適用とし、適用期限も2年延長され平成22年3月31日までとされています。

・情報基盤強化税制
⇒情報セキュリティ強化のための投資に対する特別償却35%又は税額控除7%を選択適用とし、適用期限も2年延長され平成22年3月31日までとされています。また、取得価額の最低限度も300万円以上から70万円以上へ大幅に引き下げられる予定です。

・創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰戻還付措置が2年間延長される予定です。

・交際費について、中小企業だけに認められている特例措置が2年間延長される予定です。(交際費年間400万円までは、支出額の90%を費用処理できる制度)

※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な確定事項ではありません。
今後の国会審議動向により、内容が変更することがありますのでご了承ください。

この話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№61


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