逓増定期保険の改正について

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


さて、今回は、先日国税庁から発表された逓増定期保険についての改正案の内容をお知らせします。

※今回の内容は、正式な確定事項ではありません。
今後の動向により、内容が変更することがありますのでご了承ください。

逓増定期保険の節税メリットがなくなる?!

みなさんは「逓増定期保険」という保険をご存知でしょうか。
一度は耳にしたことのある方、もしくは既に加入しておられる方もおられると思います。

「逓増定期保険」とは、保険期間が経過していくにつれて、保険金が増えていく定期保険のことをいいます。この「逓増定期保険」のうち、一定の条件を満たしている保険であれば、支払った保険料を全額費用に計上することができます。いわゆる”全損”といわれる保険です。

この「逓増定期保険」は保険を使った節税対策の中でも、保険料が全額費用になるので節税効果が高く、決算直前でも多額の費用を計上することができ、節税対策として広く使われてきた保険です。

ところが昨年春頃、国税庁から生命保険協会に「逓増定期保険の通達改正を予定している」と連絡が入りました。

そのため一部の数社の生命保険会社を除いて、逓増定期保険の販売はいったん中止されていたのですが、昨年12/26に国税庁のホームページでついにその改正案が公表されました。

これまでの通達

これまでは以下のどちらかの条件を満たせば、「逓増定期保険」でも保険料支払時に原則全額を経費計上することができました。

・保険期間満了時の被保険者の年齢≦60歳 
又は
・保険加入時の被保険者の年齢+保険期間×2≦90

例えば、以下のような場合です。
・被保険者(社長)加入時 25歳  保険期間 35年 ⇒ 保険期間満了時60歳
・被保険者(社長)加入時 50歳  保険期間 20年 ⇒ 50+20×2=90

事実上”全損”保険はなくなる

ところが今回公表された改正案では、保険期間満了時の被保険者の年齢が45歳を超えていれば、支払時の全額費用計上はできないとしています。

通常の逓増定期保険では、被保険者が45歳以下で保険期間が終わるということはあまり考えられませんので、事実上”全損”の逓増定期保険は姿を消すことになりそうです。

その場合、被保険者の年齢と保険期間等の関係により3つの場合に区分し、それぞれ保険期間の60%を経過するまでは、支払保険料の1/2、2/3、3/4に相当する金額は前払費用として資産計上することとしています。

つまり決算対策として利用するために、逓増定期保険に加入するとしても、最大支払保険料の1/2までしか経費にはならないことになります(条件によっては1/3、1/4ということもありえます)。

保険期間の60%を経過すれば、残りの期間で当初の前払費用部分も経費になっていきますので、保険期間トータルで見れば、結果的には全部費用にはなるのですが、土壇場の決算対策として利用する価値は薄れてしまうでしょう。

適用時期など不明点もあり

ただし、この改正案はあくまでまだ改正案ですので、最終的な決定事項ではありません。
今後の予定としては、1月中に民間からの意見も参考にした上で決定し、2月中にも施行する予定のようです。

気になるのは、現在既に加入している「逓増定期保険」の取扱いについてですが、改正案では、今まで通りの全額費用計上を認める趣旨の記載があります。

ただ最終的に確定するまでは何とも言えませんので、今後の動きには要注意です。

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

メール通信№62


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