グループ法人税制、来年度税制改正で導入か
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
グループ法人税制、中小企業にも影響?
先日、8/16の日経新聞に「法人税制、政府検討・グループ経営、円滑に」という記事が掲載されていました。内容は、政府が近々新たな「グループ法人税制」の導入を検討している、というものです。今回はその内容について、お届けしたいと思います。
経済産業省、財務省、金融庁、中小企業庁等は、以前から「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会」というものを開催していたようです。そこで、議論された内容が、7/30に「論点とりまとめ」として公表されました。その中で「グループ法人税制」という考え方が議論の対象となっています。
この内容はまだあくまで議論の段階で、実際に決定されるのはまだまだこれからの推移を見守っていかなければなりません。特に選挙が控えており、政権交代が実現する可能性もあるため、正直どうなるかはわからない状況ですが、現状においては、「グループ法人税制」の導入というのはどうやら既定路線のようです。
そして大事なことは、もしこれが導入されれば、中小企業にも影響があるという点です。
グループ法人税制とは
では、「グループ法人税制」というのはどういうものでしょうか。
現在の税法では、例えば、社長が100%出資の会社を2つ所有していたとしても、それらの会社は全く別個の会社として取り扱います。
ですので、例えばこの2社間で資産を譲渡した場合にも、原則時価で譲渡したものとして譲渡損益が発生するなど、他の会社と同様に取り扱うことになっています。
例外として、連結納税制度というものがあります。これは、事前に届け出をしておくと、100%親子会社を1つの法人とみなして課税する制度です。連結納税制度では、親子会社の損益が通算されますのでメリットもありますが、手続きが非常に複雑であるため、あまり普及していないのが現状です。
今回導入が検討されている「グループ法人税制」というのは、この連結納税制度とも違います。
「グループ法人税制」では、あくまで1社ごとに税金計算を行い、連結納税制度のようなグループ間の損益通算はしないのですが、その代わりグループ間で資産を譲渡した場合には、その譲渡損益を認識しない、グループ間の配当金には課税しない、などの取扱いが検討されているようです。
つまり、子会社から親会社に簿価を上回る時価で資産を売却した場合、子会社には譲渡益が発生しますが、グループ法人税制では、この譲渡益には課税されません。
逆のパターンもあります。
子会社から親会社に簿価を下回る時価で資産を売却すれば、子会社には譲渡損が発生しますが、グループ法人税制では、この譲渡損は経費にはなりません。
グループの範囲には個人も含む
そして、多くの中小企業に関係してくると思われるのが、そのグループの範囲です。このグループ法人税制の対象になるのは、法人だけではなく個人もグループの対象にすることが検討されています。
そうなれば、中小企業は社長の100%出資という場合が多いと思いますので、社長が複数の会社を所有している場合はもちろん、複数所有していない場合にも、社長と会社間の資産の売買、役務の提供等に影響が出てくる恐れがあります。
まだ詳しいことはわかりませんが、遅かれ早かれこの「グループ法人税制」が導入されることになりそうです。今後の会社経営を考えていく上では、大きな転換点になるかもしれません。
このお話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№145
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