平成23年度税制改正の最新情報

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


平成23年度税制改正の舞台裏

先日、日本経団連の経済基盤本部長である阿部泰久氏のセミナーをお聞きする機会がありました。テーマは平成23年度税制改正についてです。

阿部氏は日本経団連を代表して、財務省主税局と来年度税制改正についての意見交換をされています。税制改正は、最終的には政治家が決めることではありますが、そこに至るまでには、こういう民間団体とのやり取りでおおよその形作りが行われています。

上記セミナーでは、その舞台裏の貴重な話をいろいろお聞きすることができましたので、今回はその内容についてご紹介したいと思います。

自民党時代に逆戻り?

平成23年度税制改正に向けての議論は、当初かなり前倒しで行われることが予定されていたようです。しかし、参議院選挙があのような結果になり、現在は結局民主党の代表選待ち、という状況になっています(このコラムが掲載される頃には、結果が出ていると思いますが)。

大きな流れの話としては、先日、民主党の税制改正プロジェクトチームが発足したため、以前の自民党時代のような二元体制(政府税制調査会と党税制改正PT)となっており、意思決定プロセスが不透明になる、という指摘がありました。

法人税、5%引き下げには1.5兆円

平成23年度税制改正の目玉となりそうなのは、何といっても法人税の引き下げです。5%の引き下げが目標とされていますが、財源探しに難航しているのが現状のようです。

法人税は1%引き下げると、だいたい3,000億円の財源が必要になるそうです。つまり、5%引き下げるためには、1.5兆円が必要となります。民主党は、特定業界への助成金のようなものだ、ということで、租税特別措置法の見直しを掲げていますが、それだけでは到底1.5兆円には及びません。

そこで2つのプランが出ているそうです。

1つは、繰越欠損金の見直しです。現在、繰越欠損金は7年間の繰り越しが認められており、その間に利益が出ても、繰越欠損金以下であれば、原則税金を負担する必要はありません。

金融機関などの一部は、過去の多額の繰越欠損金があるため、現在も法人税を納めていないというのが現状です。そこで、この制度を見直し、例えば、繰越欠損金は当期利益の半分までしか使用を認めない、というような改正が考えられているようです。

もう1つは、環境税との引き換えです。環境税については、昨年の税制改正大綱にも明記されており、平成23年度で導入される可能性はかなり高い、とのことでしたが、その財源を法人税引き下げに充当できないか、というのが2つ目のプランです。

いずれにしても、財務省主税局としては、法人税の5%引き下げを実施すべく、前向きに検討しているということでした。

一方、中小企業については、所得800万円以下の部分に対して、現在18%の税率が適用されており、民主党マニフェストでは、これを11%に引き下げると書かれていますが、こちらについても財源は厳しいようです。上記5%引き下げ議論よりトーンダウンしている感は否めず、現状では中小企業投資促進税制の縮小・廃止が財源として上がっている、ということでした。

オーナー課税制度、代替措置は

一部の同族会社に対して、社長の役員報酬の一部が経費にならない、という規定、いわゆるオーナー課税制度が今年の4月1日以降終了事業年度から廃止されましたが、これについては、来年度に代替措置を検討する、ということが前回の大綱に明記されていました。

巷では、それが給与所得控除の限度額設定だと言われてきました。確かに、給与所得控除は、年収2,000万円で頭打ち(年収がそれ以上増えても、給与所得控除は増えない)が予定されているようです。

しかし、オーナー課税制度の代替措置はそれとは別に検討されている、ということでした。中小同族会社にとっては、要注意です。

配偶者控除に所得制限?

こども手当の満額支給が不透明となる中、所得税の所得控除についてもどうなるのか気になるところです。

扶養控除についての話はありませんでしたが、配偶者控除の見直しが検討されているようです。現在、配偶者控除に所得制限はありませんが、来年度税制改正で所得制限を導入することを検討しているようです。配偶者関係については、過去に配偶者特別控除も廃止されており、現状では縮小傾向にあるようです。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

(今回の内容は、日本経団連経済基盤本部長の阿部氏の話を基にしていますが、あくまで現状での議論に過ぎず、今後の税制改正の内容を保証するものではありませんので、ご了承下さい。)

メール通信№200


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