3月決算・4月決算からの変更点

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


グループ法人税制の対象法人は、出資関係図を添付

この3月決算法人から、平成22年度税制改正の適用が本格的に始まります。

適用される主な改正は3つあります。1つ目は、グループ法人の出資関係図の添付です。

平成22年度税制改正においてグループ法人税制が導入されましたが、それに伴い、H22.4.1以後開始事業年度から、グループ法人税制の対象となる法人については、グループの出資関係図の添付が義務付けられました。

完全支配関係とは、「一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係」と「一の者との間に当事者間の完全支配関係がある法人相互の関係」の2つです。

簡単に言うと、前者は親子会社、後者は兄弟会社の関係です。期末時点で、自社とこのような関係のある法人が存在する場合には、実際に取引をしているかどうかに関わらず、期末時点でのグループの出資関係図を作成し、申告書に添付しなければなりません。

出資関係図には、各グループ法人の法人名、納税地、所轄税務署、代表者氏名、事業種目、資本金等の額、決算期なども記載しなければなりません。
問題なのは、グループの頂点にいるのが個人の場合です。中小企業の場合、このパターンが多いと思います。この場合、個人の範囲は6親等内の血族・3親等内の姻族まで含められます。

つまり出資関係図には、自分が100%保有している法人だけでなく、自分のいとこが経営している法人だとか、奥さんのお父さんが経営している法人だとか、そういうところまで記載しなければならない、ということです。

大会社の100%子会社に対する中小特例不適用

2つ目は、大会社の100%子会社に対する中小特例の不適用です。

H22.4.1以後開始事業年度から、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人については、中小企業向けの優遇措置が受けられなくなります。

具体的には、以下の5つの制度です。

(1)中小企業者等の法人税率の特例
(2)特定同族会社の特別税率(留保金課税制度)の不適用
(3)中小企業等の貸倒引当金の特例における貸倒引当金の法定繰入率
(4)交際費等の損金不算入制度における中小企業者に係る600万円の定額控除
(5)中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の適用除外

中小企業等基盤強化税制の拡充

3つ目は、中小企業等基盤強化税制の拡充です。

具体的には、サーバー用のOSやデータベース管理ソフトウェア等を年間70万円以上購入した場合に受けられる税額控除等の特例を、中小企業に限って延長し、さらに対象資産に仮想化ソフトウェア等が追加されます。

これに伴い、資本金1億円超の大企業は、適用対象外となります。

適用額明細書

4月決算法人からは、さらにもう1つ改正が行われます。それが適用額明細書の添付です。

平成22年度税制改正において、「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律」というのができました。これは、租税特別措置の適用実態を把握して、一部企業のみが適用されている実質的補助金のようなものを見直し、より公平で透明性の高い税制にすることを目的としています。

H23.4.1以後終了事業年度からは、法人税関係特別措置を適用する場合には、「適用額明細書」を申告書に添付しなければなりません。

法人税関係特別措置というのは、中小企業者等の法人税率の特例や、中小企業者向けの設備投資優遇税制などが該当します。
このうち、中小企業者に対して所得800万円以下の法人税率を18%に引き下げる特例は黒字申告の中小企業のほとんどが受けている特例です。

したがって、中小企業のほとんどがこの適用額明細書を添付することになります。適用額明細書の添付がない場合には、特例の適用が受けられなくなりますので、4月決算以降の申告は注意が必要です。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№223


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