サービス付き高齢者向け住宅とは?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


営業攻勢がすごいんです!

土地持ちの方や病院経営者、更にはそれらを取り巻く税理士など一部の方に、今ものすごい営業攻勢が来ているのが、この「サービス付き高齢者向け住宅を建てませんか?」という案内です。

助成金が出ますよとか、税制上有利だとか、安定収入で投資利回りも悪くないなど色々と眉唾のことが書かれていますが、実際どうなのでしょうか。

そこで今回は、この「サービス付き高齢者向け住宅」について、その内容とメリット・デメリットなどを考えてみたいと思います。

「高齢者専用賃貸住宅」から「サービス付き高齢者向け住宅」へ

現在全国には、特別養護老人ホームに入所できない高齢者(介護難民)が約42万人いるといわれています。

待機児童でも数万人ですから、ものすごい数です。
更には高齢者は今後益々増えていきます。

そこで政府も、高齢者の暮らしを支えるために、介護保険制度だけではまかなえない見守りや生活相談等のサービスを付加した「サービス付き高齢者向け住宅」を浸透させるべく、2011年4月に「改正高齢者住まい法」を成立させました(2011年10月20日施行)。

具体的には、、これまでの「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」・「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」・「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」制度を廃止して、「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度が創設されました。

登録基準としては、居室の広さや、バリアフリー化、安否確認等のサービス提供、前払家賃等の保全措置などがあります。

現在、高齢者向けの住宅施設は養護老人ホームやケアハウス、有料老人ホームなど16種類あるといわれていますが、それらの中でも上記の登録基準を満たせば、サービス付き高齢者向け住宅を名乗れます。

また、この制度に登録すれば有料老人ホームの届出は不要となっています。

メリット(助成金、税制優遇、融資)

では、なぜ今このサービス付き高齢者向け住宅を建てませんか?と案内されるのかというと、その理由の1つが「補助金」です。

要件を満たすと、建築費の1割程度が出るようです。
一応の期限は今のところ平成24年1月末となっています。

これで利回りが全然変わってきますね。

ある建設会社のシミュレーションによると、投資金額1.8億円・30室・一括借り上げで、表面利回り9%が約10%に上昇するとなっています。

このサービス付き高齢者向け住宅を建てた場合の2つ目のメリットは、 「税制優遇」です。

いくつか細かい要件はありますが、概算は以下です。

1.不動産取得税
家屋:1,200万円控除/戸
土地:家屋の床面積の2倍にあたる土地面積相当分の価額等を減額
→これらによって、不動産取得税はほぼかからないものと思われます。

2.固定資産税
5年間、税額を2/3軽減

3.所得税・法人税
5年間、割増償却40%(耐用年数35年未満の場合28%)

(サービス付き高齢者向け住宅以外でも同様ですが、遊休地に建物を建て賃貸
を行うと、相続税軽減効果もあります)

また、融資制度についても、住宅金融支援機構が要件の緩和など融資制度の拡充を行っています。

デメリット

通常の賃貸建物に比べると、高齢者にターゲットを絞っているため、エリアによってはかなりの需要が今後も見込めるかと思いますが、では、デメリットはないのでしょうか。

私はいくつもあると思います。

まず思いつくのは、今後の「改正リスク」です。
まだまだ、この高齢者向けの住宅関係は、その方向性においてもその内容においても、流動的です。

今回の新制度である「サービス付き高齢者向け住宅」が導入されたことによって、他の約16種類ほどある高齢者向け施設はどうなっていくのか、というのがこの何年後かに今回建てた方に重くのしかかってくるのかもしれません。

また、日本の住居が全般としては供給過剰にあるという事実も、重要かと思います。

中古賃貸物件の市場活性化などによって、高齢者向け住宅関係のマーケットが大きく変わるかもしれません。

他にも、サービス面をどこに委託するのかなど、通常の賃貸アパートとは大きく異なりますので、事前の準備が必要でしょう。

また、通常の賃貸アパートとの違いという意味では、汎用性が低いのではないかという懸念もあります。

他の一般的なデメリットとして、第249回メール通信「借金して賃貸アパートを建てると、本当に相続税対策となるのか?」より引用します。

1.不動産投資は原則長期戦だという事実
2.デフレ下でもデフレしないのが借金だという事実
3.日本は人口が減少していくという事実(世帯数も2015年には減少予定)
4.日本は住居が供給過剰であるという事実
5.地価はここ20年間下がり続けているという事実
6.不良入居者が急増しているという事実
7.現在は史上最低金利であるという事実

目先のことだけにとらわれず長期視点で!

私どもも提携先の住宅会社がありご紹介や内容の説明などできますが、皆様にはくれぐれも慎重な判断をお願いしたいです。

補助金の申請期限がどうとか、節税効果がどうとかなどの目先のことだけにとらわれず、長期視点でお考えください。

【ご参考:国土交通省|サービス付き高齢者向け住宅】
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000005.html

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№258


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