給与1,500万円超は増税に

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


改正に至ったこれまでの経緯

以前のコラムにて、平成24年度税制改正の概略をお送りしました。
そのうち、改正の目玉である「給与所得控除の上限設定」について詳しくお知らせします。

さて、覚えている方もいらっしゃるでしょうが、「社長給与一部損金不算入」という会社の税金を計算するうえで、増税規制がありました。

このような増税規制ができた背景には、会社法が施行となり、従前に比し、会社設立が容易になったことにより、給与所得控除を活用した節税を規制するためです。給与が会社で費用となっているにもかかわらず、さらに個人の所得税において給与所得控除の対象となるという二重控除の問題に対処するためです。

しかし、計算が複雑であり、税理士会の猛反発もあり、平成22年度税制改正で廃止となりました。

一方、平成23年度税制改正大綱において、個人で増税となる「給与所得控除の上限設定」が盛り込まれておりましたが、ねじれ国会で実現しませんでした。
それが、平成24年度税制改正大綱において、再度盛り込まれたのです。

(注)ただし、平成23年度税制改正大綱において記載されていた「役員給与等に係る給与所得控除の縮減」については、今回は記載されていませんでした。

増税内容は・・

現在の給与所得控除は、給与収入に応じて逓増的に控除が増加していく仕組みとなっており、上限はありません。

しかし、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えられないこと、また、主要国においても定額または上限があること等から、給与収入が1,500万円を超える場合の給与所得控除については、上限245万円とされます。

月収250万円(年収3,000万円)の社長の場合、どれぐらい増税となるのでしょうか?(前提:所得控除200万円とします。)

現行では、3,000万円に対する給与所得控除後の所得は、3,000万円-(3,000万円×5%+170万円)=2,680万円となり、所得税は、(2,680万円-200万円)×40%-2,796,000円=7,124,000円です。

改正後は、給与所得控除後の所得は、3,000万円-245万円=2,755万円となり、所得税は、(2,755万円-200万円)×40%-2,796,000円=7,424,000円です。

差額7,424,000円-7,124,000円=30万円の増税となります。

併せて個人住民税にも反映されます。

この改正は、平成25年分の所得税(住民税は平成26年分)から適用されます。

所得税 最高税率引き上げか?

更には今後の検討事項として、政府税制調査会において、所得税の最高税率を現行の40%から45%に引き上げる話が持ち上がっております。

かつての最高税率は75%だそうですが、仮に所得税率が40%から45%に引き上げられた場合には、個人住民税率10%と合わせると、所得の55%が税金で持っていかれることになります。また、社会保険料においても上限を引き上げる案が出ていますので、高所得者にとって厳しい風がふいています。

なにか節税する方法は・・・

やはり、お勧めは「小規模企業共済」です。
これまでも何度もご紹介してきましたが、再度メリットをお知らせします。

1.掛金が全額、所得控除となります。
月額最高7万円、年間84万円を所得控除とすることができますので、最高税率50%(所得税+住民税)の場合、84万円×50%=42万円の節税となります。

2.共済金の受取金について、退職所得または公的年金等の雑所得として、優遇税制を受けることができます。
 
なお、小規模企業共済について、弊社でも受付をしておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

なお、今回ご紹介した内容は、あくまで税制改正「大綱」の段階です。改正法案が国会で可決されるまでは、最終決定ではありませんので、ご注意下さい。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№264


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