社会保障と税の一体改革

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


消費税増税のおおまかな内容

去年の12月は、大きな税制改正の話題が立て続けに3つも続きました。それは、平成23年度税制改正の決定(12/2施行)、平成24年度税制改正大綱の発表(12/10)社会保障と税の一体改革案の発表(12/30)の3つです。

3つ目の「社会保障と税の一体改革」は、消費税増税に伴って行われる、年金や医療、介護などの社会保障改革と税制改革です。12/30にその素案を政府が発表しましたので、税制面での内容を簡単にお伝えしておきたいと思います。
(なお、これはまだ素案ですので、今後の国会審議の動向等により、内容は変わる可能性があります。)

まず、消費税の増税時期についてですが、平成26(2014)年4月1日より8%、平成27(2015)年10月1日より10%へ段階的に引き上げることとしています(工事の請負等については経過措置あり)。税率については、単一税率を維持することとされ、食料品等に対する軽減税率の適用はありません。

また、消費税の増税は、所得の少ない家計ほどその影響が高いことから、社会保障・税番号制度の導入を前提に、総合合算制度や給付付き税額控除などの導入が検討されています。総合合算制度というのは、医療・介護・保育等に関する自己負担の合計額に上限を設ける制度、給付付き税額控除というのは、納める税金の額が少なく、税額控除を満額受けられない場合に、その受けられなかった金額を納税者に給付する制度のことです。

中小企業にとっては、消費税増税に伴い、事業者免税点制度や簡易課税制度に改正がないかどうかが気になるところです。これらについては、中小事業者への事務負担を配慮し、制度を維持することとしています。ただし、その内容については、一部見直しが行われる見込みです。

まず、資本金1,000万円未満の新設法人に関する免税点制度については、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接又は間接に支配する法人(親族、関連会社等を含めた資本の持分比率が50%超の会社)を設立した場合については、その設立法人の当初2年間は課税事業者とするなどの措置を行なうとしています(平成26年4月1日以後設立法人)

また、簡易課税制度については、一部の業種でみなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っていることから、みなし仕入率の水準について必要な見直しが行われる見込みです。

なお、消費税増税により大きな影響を受ける医療機関等や住宅取得については、緩和措置などを総合的に検討する、としています。

所得税・相続税も増税基調に

消費税増税に伴い、その他の税制も一部改正が行われる見込みです。

所得税については、消費税増税による低所得者の負担増とバランスを取るため、課税所得5,000万円超について税率を40%から45%に引き上げるとしています(平成27年分所得税より)。

その他成年扶養控除や配偶者控除、給与所得控除、年金課税については、今後も引き続き検討することとされています。

相続税については、平成23年度税制改正大綱に盛り込まれながら実現していなかった下記の項目について、平成27年1月1日以降の相続、遺贈、贈与から適用される予定です。

・相続税の基礎控除
(改正前)5,000万+1,000万×法定相続人の数
(改正後)3,000万+600万×法定相続人の数

・死亡保険金に係る非課税限度額
(改正前)500万円×法定相続人の数
(改正後)500万円×法定相続人(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る)の数

・相続税の税率構造の引き上げ

・未成年者控除と障害者控除の拡大

・暦年贈与課税の税率構造の見直し

・相続時精算課税制度の見直し

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№266


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