消費税免税制度の改正厳しく

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


これまでの経緯と現行制度

前回の税率引き上げ(平成9年4月)以後では、平成15年度改正で事業者免税点制度の適用上限額が課税売上高3,000万円から1,000万円に引き下げられました。(簡易課税制度の適用上限額も課税売上高2億円から5,000万円に引き下げられました)

現行は、基準期間(原則、法人は前々事業年度、個人は前々年)の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の免税事業者となります。
しかしながら、新設法人については、前々事業年度というものがありません。つまり、基準期間というものがありませんので、原則2年間は免税事業者となります。

ただし、担税力に注目し、資本金1,000万円以上の新設法人については、原則2年間の免税事業者の適用はなく、設立事業年度から課税事業者ということになっています。

事業者免税点制度の問題点

事業者免税点制度の適用上限額(課税売上高1,000万円)は、2年前の課税売上高で判定することとされているため、資本金1,000万円未満の新設法人については設立から2年間免税事業者とされています。そのためかねてより、次のような租税回避行為に悪用されているとの指摘が、会計検査院(役所を調査する機関)からなされていました。

○2年間免税となっている新設法人の中には、設立当初から相当の売上高を有する法人がある

○いわゆる「法人成り」した免税事業者の中には、設立当初から相当の売上高を有する法人がある

○資本金1,000万円未満で法人を設立し、第2期の期中に資本金を1,000万円に増資することにより、2年間免税となっている法人がある

○設立後2年間免税の適用を受け、設立3期目以降に解散等している法人がある

このような問題点が指摘されるなか、見直しがされます。

(第1弾)平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用

まず平成23年度改正において、「免税事業者の課税売上高が上半期(特定期間といいます)で1,000万円を超える場合には、その翌期から課税事業者とする」という見直しがされました。

ただし、課税売上高に代えて、特定期間の給与等支払額の合計額を用いて判定することもできます。また特定期間が短期間である場合には、別途定めがあります。

例えば、平成24年4月1日に資本金500万円で法人を設立し、設立事業年度の上半期(4月~9月)の課税売上高が1,500万円とした場合、これまでは2期免税事業者でしたが、第2期(平成25年4月1日~)については、原則課税事業者となってしまいます(なお、給与等支払額の判定を考慮していません)。

(第2弾)平成26年4月1日以後に設立される法人について適用

資本金1,000万円未満で設立された法人について、5億円超の基準期間課税売上高を有する事業者が直接又は間接に支配する法人(親族、関連会社等を含めた資本の持ち分比率が50%超の会社)である場合には、設立当初2年間の免税点制度が利用できなくなる、というものです。

課税売上高が5億円超ある会社が子会社を設立した場合には、その子会社については消費税2年間免税が使えない、つまり最初から課税事業者になります。

なお、このようにいくつかの見直しはされましたが、中小企業の事務負担への配慮という本来の趣旨に合致する小規模事業者については、今後も免税事業者が適用可能ですので、ご留意下さい。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№303


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