どうなる?アベノミクス税制改正

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


税制改正がマネーを動かす

最近、世の中のマネーを動かしているのは、「アベノミクス」と「税制」かもしれません。

●4月から始まった教育資金贈与信託
→既に残高が1,000億円を突破

●来年1月から始まる少額投資非課税制度(NISA)
→口座の開設予約が150万件を突破

●戸建、マンション等の住宅
→販売好調、ハウスメーカー増収増益

上記の動きの背景に、「相続税増税」「証券優遇税制廃止」「消費税増税」という税制改正があります。

税金に動かされるのは、個人ばかりではありません。

先日、政府の成長戦略が発表されました。報道によると、来年度税制改正の議論は前倒しで行われるようです。
税制改正は、例年であれば、秋以降に作業が始まりますが、今年は約2ヶ月前倒しして、9月にも議論を始める方針のようです。

企業減税に関わる部分を先に決定し、関連法は他の税制改正と一緒に例年通り、年明けの通常国会に提出される見通しで、企業減税は今秋にさかのぼって適用することが検討されています。

舞台の中心は、法人税制に移っていきます。

法人税率引き下げは実現するか?

今のところ、経済界の要請は一貫して「法人税率引き下げ」ですが、現行法のままでも2014年度末に復興特別法人税が終了して税率が若干下がるため、財務省はなかなか慎重な姿勢です。

その代わりに、設備投資関係の減税が検討されています。それが、「設備投資の即時償却」と「設備廃棄損の繰戻還付」です。

通常、新規で設備投資した場合には、その資産内容に応じた耐用年数で減価償却していくことになります。それを設備投資した事業年度において、全額損金計上できる、即時償却制度を検討しているようです。

もう1つは、新規に設備投資した際に発生する、旧設備の廃棄損に注目した案です。旧設備の廃棄損で当期の利益が赤字になってしまった場合に、発生した赤字のうち、廃棄損による赤字部分を前期の法人税と相殺して、還付を受けるというものです。

ただし、これらはどちらも、中小企業ではあまり使える制度ではないな、という印象です。

「設備投資の即時償却」というのは、一見よさそうですが、結局減価償却費を前倒しで計上しているだけで、投資年度の翌年度からは減価償却費がなくなりますので、増税になります。トータルで見れば、結果的には同じです。
これまで通り、現行制度の税額控除をうまく活用する方が、節税できるのではと思います。

また、繰戻還付については、中小企業の場合、設備廃棄の有無等に関わらず、当期の赤字を前期の法人税と相殺することは、既に認められている制度ですので、こちらもあまり関係ありません。

どちらも、大手電機メーカー等を念頭に置いているのではないか、と思います。

注目は、役員報酬の範囲拡大

個人的に注目しているのは、「役員報酬の損金算入範囲拡大」です。経済産業省が、来年度税制改正の実現に向けて要望する方針のようです(日経朝刊H25.6.19)

現在の制度では、役員報酬は何でも損金算入できるわけではなく、定期同額給与であることなど、一定の要件があります。これを利益に連動した報酬なども損金算入できるよう、範囲拡大を要望する、とのことです。

現状では、役員報酬の金額は原則年1回しか変更できないなど、実務上はいろいろ制限されている面があります。このあたりの制限が少しでも緩和されれば、中小企業にとっては朗報ではないか、と思います。

今年の秋には、消費税を増税するかどうかの最終判断が控えています。今年は最後まで税制に目の離せない時期が続きそうです。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№342


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