消費税の転嫁対策特別措置法5つのポイント
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
1年半の短期間に2回の税率引き上げが予定
ご承知のとおり、消費税等の税率が現在の5%から、平成26年4月に8%、平成27年10月に10%へ引き上げられる予定です。
この新税率が適用されるのは、消費税率引き上げ日(施行日)以後に資産の譲渡等を行なった場合です。施行日より前に契約を締結しても、資産の譲渡等が施行日以後であれば、新税率が適用されます。
しかし、契約の時期や内容等によっては、消費税率引き上げ後でも、旧税率が適用される「経過措置」が定められています。経過措置の対象となるには、下記の指定日より前に契約等を行う必要があります。
〔消費税率引き上げのスケジュール〕
税率 施行日 指定日
8% 平成26年4月1日 平成25年10月1日
10% 平成27年10月1日 平成27年4月1日
一方、消費税率引き上げに際し、円滑かつ適正な転嫁ができるように、新しく「消費税の転嫁対策特別措置法」が国会で成立しました。
今回は、日本商工会議所が消費税率引き上げにあたって事業者が注意すべきことをまとめた小冊子「消費税の転嫁対策特別措置法5つのポイント」からお知らせします。
【日本商工会議所 各地商工会議所 消費税の転嫁対策特別措置法 5つのポイント】
http://www.jcci.or.jp/chusho/mihiraki.pdf
ポイント1.「消費税の転嫁拒否等(減額、買いたたき等)禁止」
平成26年4月1日以降に供給する商品または役務について、消費税の転嫁を拒む行為等が禁止されます。
○Aパターン
買手:転嫁拒否をする側(規制対象)⇒大規模小売事業者
売手:転嫁拒否をされる側⇒大規模小売事業者と継続的に取引を行っている事業者
○Bパターン
買手:転嫁拒否をする側(規制対象)⇒資本金3億円以下の事業者等と継続的に取引を行っている法人事業者
売手:転嫁拒否をされる側⇒資本金3億円以下の事業者等
禁止される行為は次の4類型です。
①減額または買いたたき
②購入強制もしくは役務の利用強制、または不当な利益提供強制
③税抜き価格での交渉の拒否
④報復行為
もちろん中小企業同士の取引でも違反すれば規制の対象です。
ポイント2.「消費税に関連するような形での広告禁止」
いわゆる「消費税還元セール」など消費税と関連づけた宣伝広告は禁止されます。
こちらの対象は、中小企業を含む全ての事業者ですのでご注意ください。
具体的には、事業者に対して、平成26年4月1日以後に自己の供給する商品または役務の取引について、次の3つの表示を禁止しています。
①取引の相手方に消費税を転嫁していない旨の表示
例:消費税は転嫁しません。消費税は当店が負担しています。
②取引の相手方が負担すべき消費税を対価の額から減ずる旨の表示であって、消費税との関連を明示しているもの
例:消費税率上昇分値引きします
③消費税に関連して取引の相手方に経済上の利益を提供する旨の表示であって、②の表示に準ずるものとして内閣府令で定めるもの
例:消費税相当分、次回の購入に利用できるポイントを付与します
「消費税」という言葉を使わない表現については、宣伝や広告の全体から消費税を意味することが客観的に明らかな場合でなければ、禁止される表示にあたらないとされています。
ポイント3.「総額表示義務の緩和、外税表示や税抜き価格の強調表示」
消費者に商品の販売などを行う課税事業者は、値札やチラシ等においてあらかじめその価格を表示する際に、消費税額を含めた価格を表示する義務(総額表示義務)があります。なお、免税事業者や事業者間の取引には総額表示義務はありません。
例:10,800円(税込)、10,800円(税抜価格10,000円)、10,800円(うち消費税額等800円)
しかしながら、価格の値ごろ感をだすため、2つの価格表示の特例「外税表示」と「税抜き価格の強調表示」を利用できるようになります。
まず「外税表示」のほうですが、事業者の値札の変更等に係る事務負担を軽減するために時限的に税込価格を表示しなくてよいことになります。ただし、特例として認められるには、消費者に対して「現に表示する価格が税込み価格と誤認されないための措置を講じている」という要件を満たす必要があります。
例:個々の商品の値札の表示価格で、税抜き価格であることを明確にする10,000円(税抜)、10,000円(本体価格)、10,000円+800円(消費税)
例:店内の目に付きやすい場所や各商品棚などに次のような表示をします「当店の価格は全て税抜き表示となっています。レジ精算時に別途消費税相当額を申し受けます。」
もう1つの特例は「税抜き価格の強調表示」です。
税込み価格が明瞭に表示されているときは、税抜き価格を強調して表示しても、不当表示に当たらないこととされました。
「外税表示」「税抜き価格の強調表示」は、平成25年10月1日から認められます。いずれの特例も、平成29年3月31日までとなっています。
ポイント4.「転嫁カルテルと表示カルテル」
事業者または事業者団体が、公正取引委員会に届出をすると、平成26年4月1日から平成29年3月31日までの間、商品または役務の供給について、転嫁カルテル・表示カルテルが独占禁止法の適用除外となります。
転嫁カルテルについては、参加事業者の2/3以上が中小企業者であることが必要です。
ポイント5.「国等の3つの責務」
国民に対する広報、通報者の保護、態勢の整備は国等が責任をもって行うことととされています。
消費税に無縁の事業者はほとんどいないと思いますので、今のところ大枠だけでも押さえておいていただければと思います。
詳細は、今後政府から公表されるガイドライン等でご確認ください。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№350
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