外国人旅行者向け免税店に関する基礎知識

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


訪日外国人消費額は前年比増加

平成20年10月1日に「観光立国」の推進体制を強化するために観光庁が発足しました。 観光は、我が国が力強い経済を取り戻すための極めて重要な成長分野です。

観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、平成26年1-3月期の訪日外国人1人当たりの旅行支出は149,523円(前年同期比16.5%増加)で、当調査の最高記録を更新したそうです。

では、外国人が主にショッピングする場所である免税店ですが、大きく2種類あります。

1.空港内の免税店
2.繁華街などにある免税店(市内免税店)

ここでは、市内免税店を想定し、消費税免税制度についてお送りします。

輸出物品販売場制度(消費免税制度)について

事業者が「輸出物品販売場」として物品を免税販売するためには、次の1~5のすべてを満たしていなければなりません。

1.輸出物品販売場の許可を受けていること
輸出物品販売場の許可は、事業者の納税地を所轄する税務署長に、事業者が経営する販売場ごとに許可を受けなければなりません。許可を受けるためには、一定の条件をすべて満たすことが必要です。


2.非居住者に対する販売であること
輸出物品販売場におけて免税販売できるのは、外国為替及び外国貿易法で規定されている「非居住者」に限られています。販売に関しては、パスポート等で確認します。


3.免税対象物品の販売であること
許可を受けた輸出物品販売場で販売されるすべての物品が免税の対象となるわけではありません。輸出するために購入される物品のうち、次の2つの条件を満たす物品のみ免税の対象です。
(1)通常生活の用に供される物品
(2)その物品の購入額の合計額が1万円超の物品

したがって、非居住者が国外における事業用または販売用として購入することが明らかな物品は含まれません。また、国内で消費してしまう可能性のある物品についても対象外となっています。


4.所定の手続きで販売すること
免税店で販売を行う場合には、「購入者誓約書」を作成するなど一定の手続きによらなければなりません。


5.購入者誓約書を保存していること
輸出物品販売場における輸出免税の特例を受けるためには、購入者が作成した「購入者誓約書」を、事業者の納税地又は販売場の所在地に保存しなければなりません。

平成26年度における消費税免税店制度の改正

外国人旅行者のショッピングにおける利便性を向上させ、日本における旅行消費を増加させるため、全ての品目を消費税免税の対象とするとともに、利便性の観点から免税手続を簡素化するよう改正されます。

1.免税対象物品の範囲の拡大
非居住者に対する同一店舗における1日の販売額の合計が5千円超50万円までの範囲の消耗品について、一定の方法で販売する場合に限り免税販売の対象とされます。
例:食品類、飲料類、薬品類、化粧品類等の消耗品


2.輸出物品販売場を経営する事業者が保存すべき書類の追加
同一の輸出物品販売場において、その非居住者に対して1日に販売する一般物品(消耗品以外の通常生活の用に供する物品)の額が100万円を超える場合には、その非居住者のパスポートの写しを、納税地等に保存しなければなりません。


3.購入記録票等の様式の弾力化及び記載事項の簡素化
店頭での手続時間短縮のため、免税申請書類の様式の弾力化、小売現場のIT化に対応した手続方法等への簡素化を行います。

これらは平成26年10月1日以後に行う課税資産の譲渡等から改正されます。

【観光庁HP】

http://www.mlit.go.jp/kankocho/news03_000098.html


免税店は全国に約4,000店ありますが、東京や大阪などの都市部に集中しています。今後は地方の免税店を拡大し、地方を訪れる外国人旅行者が地方ならではの特産品を免税店で購入できるように取り組むとのことです。

改めて日本の少子・高齢化を考えると、外国人をマーケットに含める戦略もありかと思います。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№392


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