【重要】金融業及び保険業、不動産業で簡易課税を検討されている方へ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


税率アップだけじゃない、消費税改正

この4月以降、消費税については税率アップばかりが話題になっていますが、実は中小企業の実務面で重要な改正が行われています。その1つが「簡易課税制度のみなし仕入率の見直し」です。

まず、消費税の仕組みを簡単におさらいしておきます。
消費税には、原則課税と簡易課税という2つの計算方法があります。

原則課税は、売上と一緒に預かった消費税から、仕入や経費と一緒に支払った消費税を差し引いた金額を納税する、という方法です。つまり、会社で預かっている消費税を支払うだけですので、損得はありません。

一方、簡易課税は売上だけで計算します。実際にかかった仕入や経費の金額は一切関係ありません。それぞれの業種ごとに「みなし仕入率」が決められていて、実際にいくら仕入れたかに関わらず、「みなし仕入率」分の金額の仕入があったものとして計算します。

原則課税と簡易課税はどちらか有利な方を選択することができます。簡易課税の方が有利な場合は、会社に”益税”が発生し、消費税でトクする計算になります。

簡易課税を選択する場合の注意点は3つです。

1)2期前の課税売上高が5,000万円以下の場合のみ
売上が5,000万円を超えると適用できません。

2)後出しジャンケン禁止
簡易課税を選択したいなら、事業年度が始まるまでに届出書を提出しなければなりません。

3)2年縛りあり
いったん簡易課税を選択したら、最低2年間は続けないといけません。途中でやめることはできません。

「金融業及び保険業」「不動産業」の簡易課税は、来年4月以降増税に

上記の通り、簡易課税で消費税を計算するときには、「みなし仕入率」が非常に重要な要素なのですが、そのみなし仕入率が以下のように改正されることが決まりました。

第一種(卸売業)・・・・・・・・90%(改正なし)
第二種(小売業)・・・・・・・・80%(改正なし)
第三種(製造業等)・・・・・・・70%(改正なし)
第四種(飲食店業、その他の事業)60%(改正なし)
第五種(運輸通信、サービス業)・50%(改正なし)


==ここから改正項目===

第四種(金融業及び保険業)60%(改正前)
→第五種50%に改正
第五種(不動産業)50%(改正前)
→第六種40%に改正

今回の改正は「金融業及び保険業」と「不動産業」で簡易課税を適用されている方に影響があります。みなし仕入率が下がりますので、同じ売上高でも納税額は増えることになります。

この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用になります。

平成26年9月30日までなら、経過措置あり

ただし、「金融業及び保険業」と「不動産業」でこれから新たに簡易課税を適用しようとされている場合には、経過措置があります。

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平成26年9月30日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した事業者は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間であってもその届出書に記載した「適用開始課税期間」の初日から2年を経過する日までの間に開始する課税期間については、改正前のみなし仕入率が適用されます。(税務署パンフレットより)
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つまり、これから新たに簡易課税を適用する場合には、今年の9月30日までに簡易課税選択届出書を提出すれば、最大2年間は改正前の有利なみなし仕入率で計算できる、ということです。

なお、この経過措置は新たに簡易課税を選択する場合に限定されていますので、既に簡易課税を適用されている場合は対象外です。

また、簡易課税選択届出書は過去に提出済みで、たまたま売上高が5,000万円以下になったので、平成27年4月1日以降簡易課税に戻る、という場合も同様に対象外となります。

上記の経過措置に該当される場合には、平成26年9月30日までに簡易課税を選択するかどうかの判断が必要です。弊社でもご相談を承っておりますので、お気軽にご相談下さい。

なお、弊社顧問先様につきましては、担当者からご連絡させて頂きます。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№397


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