含み益のある債券売却、上場非上場の損益通算は年内に

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


公社債等に対する課税が、来年から株式と同じ枠組みに

平成28年1月から、金融証券税制が変わります。改正の対象になるのは、国債や外債、公社債投資信託などで、公社債等の譲渡益や償還益に対する課税が株式と同じ20%課税(復興特別所得税除く)となり、一定の公社債等については、上場株式等に含まれ、損益通算や損失の3年繰越の対象となります。

もともと、現在の公社債等に対する課税は、上場株式等とは全く異なるものです。

簡単にまとめると、原則的には、満期償還まで保有しているか、満期償還前に売却したかで税金が変わります(利付債の場合)。(実際には、債券の種類により異なる場合がありますが、ここでは省略します)

・満期償還まで保有した場合
雑所得・・・償還差益に対して総合課税

・満期償還前の売却
非課税

外債を満期償還前に売却した場合、為替差益の部分も含めて、全て非課税になります。満期償還まで保有した場合には、総合課税になるため、他の所得と合算された上で、累進課税で課税されます。

含み益債券は年内売却、含み損債券は来年持越し

上記の課税体系が、来年1月から変わります。
例えば、以下のような公社債等をお持ちの方に影響があります。

・外国債(例)先進国債券、ブラジルレアル建債など
・公募公社債投資信託(例)外貨建MMF

まず、ドル建米国債や外貨建MMFなどで、多額の為替差益が出ている場合には、償還前の売却が非課税になる年内のうちに売却しておく方が、一般的には有利だと思われます。

逆に、新興国債券など大幅な含み損を抱えている場合には、来年まで持ち越した上で、来年以降に売却すれば、他の上場株式との損益通算や損失の3年繰越の対象とすることができます(特定公社債等に該当する場合)。

少人数私募債や、上場・非上場間の損益通算など、中小企業にも影響あり

なお、同族会社が発行する少人数私募債については、来年1月以降、受取利息が分離課税から総合課税へと変わります。分離課税による税メリットのために実行されている少人数私募債については、今後メリットはなくなりますので、ご注意下さい。

また、上場株式等と非上場株式等がそれぞれ別々の枠組みになりますので、例えば上場株式等の売却損と自社株の売却益の損益通算ができるのは、年内限りとなります。

※上記は一般的な取扱いです。公社債、債券の税制上の取扱いは、個別の商品により異なります。お持ちの債券が具体的にどういう取扱いになるのかについては、必ず個別にご確認下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№457


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