速報!平成29年度税制改正(テレビでは放送されない隠れた改正編)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


速報!平成29年度税制改正

2016年12月8日に、与党が「平成29年度税制改正大綱」を正式決定しました。

この後の一般的な流れとしては、予算案とともに閣議に報告され、翌年である2017年1月中に、「平成29年度税制改正要綱」として閣議決定されます。

その後、法案化されて、3月末までに成立・公布され、2017年4月1日からの施行となります。

税制改正は、「税制が難解」「税制が国の予算と密接にからむ」という影響を受けて、他の法案と違い、かなり濃い(?)議論を積み重なることになっていて、最終的に大綱が出るまでは何が飛び出すかわからないという代物でもあります。

テレビでは放送されない隠れた改正編

消費税や所得税の大改正はなかったものの、今後の中小企業経営や相続事業承継に大きく影響する改正項目が多数ありました。

今回はその中でも、相続事業承継に影響する「テレビでは放送されない隠れた改正」を2つご紹介します。

1.中小企業株式の評価方法の見直し(中小企業に影響)
2.広大地評価の見直し(地主さんに影響)

中小企業株式の評価方法の見直し(中小企業に影響)

–大綱より抜粋———
取引相場のない株式の評価の見直し

イ 類似業種比準方式について、次の見直しを行う。
(イ)類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。
(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、 1 : 1 : 1とする。

ロ 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。
—————————–

上記の内、イ(イ)(ロ)及びロについては、総じて、「取引相場のない株式評価の適正化」又は「減税」となるであろう項目ですので、いいのですが、気になるのが、「イ(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、 1 : 1 : 1とする」です。

現行は、「配当:利益:純資産=1:3:1」です。

つまり、現行では相続税や贈与税の計算をする時に使う「皆さんの会社の株価評価」については、利益が出ている会社がより高くカウントされるようになっています。

ということは今後は、利益も他の2つの要素と同じ割合に変更されますので、多額の利益が計上されている会社の株式は、改正前よりも評価額が下がることになります。
既に事業承継対策を実施している会社は、見直しが必要となるかもしれませんので、ご留意ください。

ちなみに、利益を重視した株価評価というのは、平成12年から改正された項目ですので、実は今回の改正で元に戻ったということになります。

この改正は、平成29年1月1日以後の相続等について適用されます。

広大地評価の見直し(地主さんに影響)

–大綱より抜粋———
広大地の評価について、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地
の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する。
—————————–

大綱にはこれしか書いていませんので、今後の続報に期待したいのですが、上記の文章を2つに分解すると、下記となります。

☆現行の「面積に比例的に減額する評価方法」から「各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法」に見直す。
☆広大地の適用要件を明確化する。

ご存知の地主さんなどはわかると思いますが、税務上の広大地に該当すると、大幅な相続税減税効果が出ます。

今回の改正は、この大幅減税となる広大地評価を、多分、「より実態に即した(増税の可能性大)」かつ「より予測可能性の高い」評価方法に見直そうとするものと思われます。

ちなみにこの改正は、平成30年1月1日以後の相続等について適用されます。

こちらについては、続報が出次第、また記事にてお知らせする予定です。

※今回の内容は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№518


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