タワーマンション、固定資産税において改正予定

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


「タワマン節税」とは?

「相続税を節税するために、タワーマンションを購入する」、いわゆる「タワマン節税」と言われるものがあります。

これは、1億円で購入したタワーマンションが、相続税評価額においては
例えば2,000万円になるというものです。

では、そのカラクリはというと・・・。
「時価と相続税評価額とのかい離差」を上手く利用するものです。

タワーマンションであっても、土地と建物に区分して相続税評価額を計算します。
まず、土地の評価について「路線価×面積」で評価しますが、戸数が多いため、1戸当たりの土地の持分が少なくなり、地価の高いエリアにおいても比較的低い評価となります。
次に建物の評価についてですが、こちらはマンション全体の固定資産税評価額で一律に評価します。面積が同じであれば、高層階でも低層階でも同じ評価額となり、結果的に高層階の評価は低くなります。

つまり、現金1億円の相続税評価額は1億円ですが、タワーマンションを購入することによって、相続税評価額を大幅に引き下げることができるようになるのです。

しかし、かねてから、行き過ぎた節税、税の公平性に欠けるとの指摘があり、実際に平成23年7月の裁決において、タワマン節税が否認されています。

このような背景があり、改正との噂がありましたが、平成29年度税制改正により、相続税においては改正がされず、固定資産税と不動産取得税において規制が入ります。

タワーマンションに係る課税の見直し

高さが60メートル(おおむね20階)を超える居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る固定資産税及び不動産取得税について、各区分所有者ごとの税額を算出する際に用いる専有床面積を、実際の取引価格の傾向を踏まえて補正するように見直されます。

【現行の税額計算方法】
一棟評価し、一棟全体の固定資産税額を計算し、各区分所有者の専有床面積により按分します。
つまり、高層階、低層階ともに床面積が同じであれば税額は同じです。

【見直し予定】
一棟全体に係る固定資産税額を、各区分所有者の専有部分の床面積を「階層別専有床面積補正率」で補正したうえで固定資産税額を計算します。
具体的には、「階層別専有床面積補正率」は1階を100とした場合、10階は102.3、20階は104.9、30階は107.4、40階は110.0、50階は112.6となります。

マンション全体の固定資産税評価額は変わりませんので、各戸の建物の固定資産税額については、高層階ほど高く評価されるようになります。

なお、固定資産課税台帳に基づいて算定されている不動産取得税にも反映されます。

この改正は、平成30年度から新たに課税されるもの(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用される予定です。

相続税評価額に影響はあるのか?

建物の相続税評価額は「固定資産税評価額」で計算します。
今回の改正内容は、「固定資産税額」の算出方法を変更するもので、「固定資産税評価額」については変更はありません。

つまり、相続税には影響がないということです。

これまで同様に注意すべき点は、相続開始直前に購入したタワーマンションについては、取得価額を相続税の評価額とされる可能性があるということです。

今後の改正動向に留意が必要です。

なお、平成29年度税制改正ついては、国会を通過するまでは正式決定ではありませんので、ご了承願います。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№531


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