反面調査とは一体なに?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今回は、税務調査の一種である「反面調査」についてお送りいたします。

税務調査の種類

税務調査は、強制調査と任意調査の2種類に大別されます。

強制捜査は、ずばり伊丹十三監督の映画「マルサの女」のように突然やってきて、引き出しやら金庫やら家中を引っかきまわして脱税の証拠を捜します。

というのも、強制捜査は悪質な脱税に対する告発や逮捕を目的として「国税犯則取締法」に基づいて実施されるものだからです。
もちろん断ることはできません。そのうえ、新聞等で会社名や脱税額等が報道される可能性が高く、社会的な制裁が重くのしかかります。
「脱税は犯罪行為」であることを頭に入れておいてください。

次に、通常行われるのが任意調査ですが、任意調査には準備調査と実地調査があります。

準備調査には、税務署内で行われる机上調査と、調査対象の事業概況を把握するための外観調査があります。外観調査とは、実地調査の前に調査対象会社などに足を運び、例えば飲食店の場合ならお客になりすまして店の様子を伺うのです。

そして、実地調査には一般調査・現況調査・反面調査・特別調査・特殊調査の5種類があります。

一般調査とは、通常中小企業等に4~5年毎に実施される調査で、提出された申告書等が正しいかどうかを確認するために行われるものです。

現況調査とは、いわゆる「抜き打ち調査」のことで事前通知なしに実施されます。

特別調査は不正の可能性が高い場合に実施され、特殊調査はグループ企業など複数の会社に対して実施されます。

そして、反面調査とは調査対象の本人ではなく取引先や取引銀行等に対して実施される調査のことです。

反面調査の法的根拠

反面調査は、通常は実地調査において本人に確認にしても実態がつかめないと判断された場合にのみ、取引先や取引銀行等に対して実施されます。

思わず「そんなことしていいの?」と疑いたくなるような行為ですが、法的根拠として法人税法154条に税務調査官の質問検査権が規定されており、これに基づいて反面調査が行われるようです。

しかしながら、営業を継続する上で取引関係に支障をきたす可能性もあることから、税務調査官といえども本人に確認したが実態がつかめないというようなやむを得ない状況の場合のみ反面調査が実施されるようです。

反面調査は断ることができるのか?

税務調査官に質問検査権があり、納税者には税務調査を受けなければならない「受忍義務」というものがあります。(受忍義務があるので税務調査を断ることはできませんが、日程変更等は可能です)

進行中の税務調査において、相当の理由なしに調査官が反面調査をにおわせる言動があった場合には、はっきり「やめて欲しい」と伝えましょう。

それでも、やはり反面調査が必要と判断されたならば、正直に取引先に反面調査があることを事前に伝えておきましょう。また、銀行には、「銀行調査証」(令状ではなく、強制力はない)に記載されている者のみに限定するように依頼しましょう。会社の調査であるのに社長や家族の銀行取引はプライバシー保護に反するからです。ただし、法人と社長個人との間で送金が多い場合などやむを得ない場合には仕方がありません。

このお話が少しでも経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№141


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