経営者ならおさえておきたい賞与の基礎知識

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


今年の賞与の行方は・・・

上場企業は相次ぐ好業績により、株主に対する配当や設備投資額を伸ばしているが、その一方で、従業員に対する還元はなかなか進んでいないようだ。
先日、日本経団連は来年の春季労使交渉で、好業績による従業員に対する還元は「基本的に賞与」とする考えをまとめた。毎月の賃金にまで反映されるには、まだ紆余曲折がありそうだ。

しかし一方で、中小企業はその賞与での還元すら危ういところも多い。従業員にとっては期待膨らむボーナスの季節だが、経営者には頭の痛い時期だろう。

今年から変更になった役員賞与の取扱い

今回は、賞与に関して是非知っておいて頂きたい事項を、今年から取り扱いが変わった点を含めてお伝えしたい。

まず役員賞与に関する取扱いが、今年の会社法の新設により大きく変わっている。新会社法により、利益処分案が廃止され、株主資本等変動計算書が導入されたことに伴い、これまでの利益処分による役員賞与の支給という考えがなくなり、役員賞与は発生した期間の費用として処理されることとなった。

また税務上においても、これまでは役員賞与は損金不算入とされていたが、上記の新会社法による変更を受けて税制改正が行われ、一部限定付での損金算入が容認されることとなった。いわゆる「事前確定届出給与」である。

役員賞与を損金算入するためには

具体的には、職務の執行を開始する日(一般的には、定時株主総会開催日)か、その事業年度開始の日以後3月を経過した日かのどちらか早い日までに、あらかじめ役員賞与を支給する時期と金額を税務署に届け出た場合にのみ損金算入が認められる。

ただし、実際に適用を受ける際にはいくつか注意点がある。まず、届け出た役員賞与の金額と実際に支給した金額が異なった場合には、その役員賞与の全額が損金に算入できなくなる。また支給金額が同じでも、届出は毎年行わなければならない。そのため、実際には役員賞与の金額をあらかじめ役員報酬に織り込んだ上で、12等分して支給している会社も多い。

決算賞与を利用した節税対策

従業員賞与については、決算対策に利用できる支給方法があるのでご紹介したい。通常、従業員に対する賞与は実際に支給しないと、税務上損金には計上できない。ただし決算賞与については、決算期末時点で未払いであっても税務上損金に計上できるという特例がある。この特例を受けるためには、以下の要件を全て満たしておく必要がある(法人税法施行令第72条の5)。

【1】 その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知をしていること

【2】通知をした金額を通知したすべての使用人に対し、その通知した日の属する事業年度終了の日の翌日から1月以内に支払っていること

【3】 その支給額につき、通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

上記の要件のうち、注意すべきは【1】である。税務調査がある場合に備えて、全従業員から支給金額の通知書に印鑑をもらっておくなどの方法が望ましい。また、支給は必ず決算期末後1ヶ月以内に行わなければならない。

税務ニュース№5


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