ゼロサムゲームに陥らないための経営者がもつべき指標

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


ゼロサムゲームとは?

ゼロサムゲームとは、ある人が「利益」を得ても他の人にそれと同じだけの「損失」が発生して、「合計(サム)」すると「0(ゼロ)」になることです。

企業活動においても、他の会社の顧客を何の付加価値もつけずに横取りした場合、ゼロサムゲームであるといえます。
一方、付加価値を付けてそれに魅力を感じた顧客が他社からこちらに移ってきたのであれば、それは「非ゼロサムゲーム」です。

会社経営においては、非ゼロサムゲームを目指すべきです。

弱肉強食、勝ち負けだけの世界であると、ずっと勝ち続けない限りいつかは必ずこちらも負けに属することになります。

従来の売上高や利益金額、従業員数などだけを会社の目標数値にしてしまうと、規模を追求することになりゼロサムゲームに陥ってしまいます。

ゼロサムゲームを脱するために

そこで、非ゼロサムゲームで会社経営していくことを考えると、「付加価値」に重点を置き効率経営していくことが大切です。

その目安として、「売上高経常利益率」を活用してください。
規模は小さくとも健全な利益率を確保できているかどうかという指標ですので、有効です。
売上高経常利益率は、経常利益÷売上高で求まり、「売上総利益率×20%」を目標としてください。

例えば、売上総利益率(粗利率)が50%の製造業であれば、50%×20%=「10%」が目標とすべき売上高経常利益率となります。

つまり、この会社で3億円の売上高があれば、3億円×10%=3,000万円の経常利益確保を目標とするということです。
(この計算式からわかるように、目標とすべき売上高経常利益率は会社の売上総利益率=粗利率によって異なりますので、各会社で上記算式「売上総利益率×20%」を使って計算してみて下さい。)

経営安全率は20%を目標とする

売上高経常利益率の目標も大事なのですが、売上減に耐えるための指標である「経営安全率」も大切です。

経営安全率とは、現在の売上高が経営安全率だけ下がると損益トントンになるという指標で、経常利益を限界利益で割って求めます。
例えば、経営安全率が10%であると、売上高が10%下がると損益分岐点となり、それ以上下がると赤字になります。
従って、経営安全率は高ければ高いほど良い指標となります。

TKC経営指標のデータベースにおいては黒字企業の平均が8%となっていますが、波風が大きい中小企業の現状を考えると、経営安全率は20%を目標としましょう。

このように、他社がどうこうではなくて、絶対評価を基準としてもつことは会社をゼロサムゲームに陥りにくくします。
先述の売上高経営利益率を高める努力をしながら、更に販売費及び一般管理費に計上されている「固定費の変動費化」を実現できれば、経営安全率も向上することになります。

また、ゼロサムゲームに陥らないためには、「人の役に立つ」ことを善とする企業風土も大切です。

人の役に立って初めて付加価値、といえるのではないでしょうか。

既存のお客様からの紹介や御礼の葉書などを、大事な経営指標としているところもあります。

Ps.以前に「良い会社であれば例え中小企業であっても借入時に経営者の個人保証を外すことが出来ます」というようなことを書いたのですが、それを見られてかどうかはわかりませんが、数年たってその会社の財務をみてみると、経営者の努力によって借入全ての個人保証が外れていました。これには、実は私もびっくりしましたが、私がここで伝えたいのは、実行力です。
今回は売上高経常利益率と経営安全率の話をしましたが、実行力が大切です。すぐに結果は出ないでしょうけど、どこか紙にでも貼って、まず手っ取り早く始められそうなところから始めてみる、というのがいいのではないでしょうか。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№399


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