金融機関とは恋人ではなく友人として付き合う
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
恋人ではなく友人として付き合う
先日相談を受けた会社は、設立10年目で売上規模5億円、地方銀行からの借入金1億円でした。
相談内容は、「現在地銀1行とのみ取引をしているが、他行から借入をしたら問題ありますよね?」でした。
これは実は大きな間違いです。
金融機関は、融資先の企業を独占したいとは通常考えていません。
出来れば、他の金融機関からも健全に借入があって、当金融機関にとってリスク分散を図られているのが理想と考えます。
つまり、企業が複数の金融機関と取引するのは、むしろありがたいと考えています。
これを人間関係に例えると、「金融機関とは恋人ではなく友人として付き合う」となります。
恋人同士での関係であれば、当然他の人にうつつを抜かす浮気はご法度ですが、金融機関との付き合いを友人同士の関係と考えると、友人は1人である必要はなく複数いてもいいのです。
また、上記の相談会社の場合、他の金融機関から新規借入をする前に、現在のメイン銀行にはっきりとその旨を伝えておくといいでしょう。
例えば、「今後も継続してお付合いをお願いしたいのだが、今後の業容拡大も踏まえて次の新規借入については他の金融機関でお願いするつもりです」、と。
金融機関が通常嫌がるのは、現在貸し付けをしている融資を一括返済などで他の金融機関に乗り換えられる場合です。
そうではなく、新規融資の実行において一行取引から複数行取引に移行するようなケ-スでは、金融機関の心象をそれほど気にする必要はありません。
都市銀行、地方銀行、信用金庫バランスよく
では、複数の金融機関と取引する場合、どのようなバランスがいいのでしょうか。
会社規模や今後の方向性などにより、一概にはいえないのですが、一般的には、「都市銀行、地方銀行、信用金庫」とバランスよく借入があるのが理想です。
それぞれの特徴としては、都市銀行は、小回りがききにくい分、大きな金額の融資が期待できます。
地方銀行や信用金庫は、細かな配慮を含めた臨機応変な対応が期待できます。
複数行取引のメリット
複数の金融機関と取引することは、いくつかメリットがあるのですが、主だったものは以下の3つです。
1.金利競争による資金調達費用の低下
2.ピンチのときのリスクヘッジ
3.情報源の多様化
金利競争による資金調達費用の低下」とは、複数の金融機関からの融資提案の比較によって、借入利率が低下することです。
金利競争は、特に、財務体質の良い会社や成長会社ほどその効果は大きいです。
余談ですが、時々他の金融機関から、とても低い金利の借り換え提案をしてくることがあります。
これは、慎重に対応されることをおすすめします。
最もスムーズな対応は、その提案を現金融機関に話して現借入の金利を下げてもらうことです。
よくある失敗は、目先の金利低下に飛びついたあまり、現金融機関と疎遠になり、新金融機関においても次回借入時には以前と変わらぬ金利提示を受けるというパターンです。
借り換え提案時の目玉金利は赤字覚悟で実行してきますので、その後是正されます。
また、一行取引であると、会社がピンチのときにその金融機関が融資を引き揚げると、資金調達不能となってしまいます。
金融機関によって融資基準は異なりますので、例えA金融機関がダメであっても、B金融機関から借入可能ということもありますので、複数行取引をおすすめします。
これが、「ピンチのときのリスクヘッジ」です。
最後に、「情報源の多様化」ですが、これは複数行取引することによって、金融機関からの情報提供を多様化させるということです。
金融機関からの情報提供としては、特に大事にしたいのが、不動産情報です。
金融機関がもっている不動産情報は、他に出回っていない優良なものが含まれていることがあります。
このお話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№157
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