贈与特例は近い将来に廃止の見通し!?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2022.01.17


令和4年度税制改正大綱より

なんだか物騒なタイトルで恐縮ですが、一部週刊誌等でも取り上げられているように、贈与特例が近い将来になくなる可能性が高くなってきました。

その根拠は令和3年度税制改正大綱に遡り、「相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税と暦年課税制度のあり方を見直す」と検討項目として明記されました。

そして、令和4年度税制改正大綱においては、基本的な考え方において次のように明記されました(少し長くて恐縮ですが、政府の本気度を感じられる文章ですので全文記載します)。

「わが国では、相続税と贈与税が別個の税体系として存在しており、贈与税は相続税の累進回避を防止する観点から高い税率が設定されている。

このため、将来の相続財産が比較的少ない層にとっては、生前贈与に対し抑制的に働いている面がある一方、相当に高額な相続財産を有する層にとっては、財産の分割贈与を通じて相続税の累進負担を回避しながら多額の財産を移転することが可能となっている。

今後、諸外国の制度も参考にしつつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続税精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める。」

さらに・・・

「経済対策として現在講じられている贈与税の非課税措置は、限度額の範囲内では家庭内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっていることから、そのあり方について、格差の固定化防止等の観点を踏まえ、不断の見直しを行っていく必要がある」

結びが大変強い表現となっており、政府の本気度は伝わってきます。

現行における贈与税非課税制度

現行における贈与税非課税制度は、主に以下の制度があります。

1.暦年課税制度
2.相続時精算課税制度
3.住宅取得等資金に係る贈与税の非課税制度
4.住宅取得等資金に係る相続時精算制度の特例
5.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
6.結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

上記の5及び6の適用期限は2023年3月までとなっており、3及び4の住宅取得等資金贈与については、令和4年度税制改正大綱により2年延長され、こちらは金額は縮小され2023年12月末までに延長されています。

期限はすべて2023年中となっており、その後延長されるかどうか注目です。

2022年中に贈与を検討するものあり

2022年中においては、現行制度が適用されますので、贈与税の非課税制度を適用することができます。

20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合における贈与税率です。

310万円贈与→10%(贈与税額20万円)
510万円贈与→15%-10万円(同 50万円)
710万円贈与→20%-30万円(同 90万円)

贈与税率も所得税率と同様に累進課税となっており、実効税率は表面税率より低くなります。

※今回の内容の一部は、国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№779


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