相続税取得費加算の旨味が縮小、相続した土地の譲渡時に増税

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2014.08.25


相続や贈与によって取得した資産の取得費

土地や建物を譲渡し利益が生じた場合には、「譲渡所得」が課税されます。

譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
土地の取得費の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料等などの合計額で、建物の取得費の場合、購入代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた額です。
売った土地建物の中には、相続や贈与により取得したものもありますが、この場合の取得費は、死亡した人や贈与した人の取得費を引き継ぎます。

さらに、非事業用の土地建物を相続や贈与により取得した際に、相続人や受贈者が支払った登記費用や不動産取得税の金額も取得費に加算とします。

なお、取得費が分からない場合は、取得費を売却金額の5%相当額をみなすことができ、この場合は相続人などが支払った登記費用などを取得費に加算することができません(不動産売買関係書類は永久保存のつもりで保管されることをお勧めします)。

相続税が取得費に加算される特例

この特例は、相続により取得した土地、建物、株式等を一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです(譲渡所得のみに適用)。

特例を受けるための要件は次の3つです。
1.相続や遺贈により財産を取得した者であること
2.その財産を取得した人に相続税が課税されていること
3.その財産を、相続開始のあった日の翌日から3年10か月以内に譲渡していること

取得費に加算できる相続税額は、原則、その財産を売却した人にかかった相続税額のうち、「譲渡した財産に対応する額」です。
ただし、土地だけは「相続や遺贈で取得したすべての土地等に対応する額」とされています。

つまり、今回売却した土地に対応する相続税額だけでなく、その人が相続等したすべての土地等に対応する相続税額が取得費に加算することができます。

この相続税取得費加算の特例は、平成5年に当時の地価動向や譲渡益に対する税率引上げ等の事情を考慮して創設されました。

しかし、地価がバブル以前の水準まで値下がりしており、かねてから改正が噂されていましたが、平成26年度税制改正で縮小決定となりました。

相続税取得費加算の旨味が縮小

平成27年1月1日以後に開始する相続や遺贈により取得した土地等を譲渡した場合に取得費に加算できる金額は、「土地等を売った人にかかった相続税額のうち、その譲渡した土地等に対応する額」に縮小されます。

これにより、譲渡所得にかかる所得税・住民税が増えることになります。
なお、平成27年以降に発生する相続等に適用されるため、それまでに発生した相続等については、現行特例を使うことができます。

どちらにしても、相続税を取得費に加算できるのは有利な規定ですので、相続した土地等を売却する予定がある人は、「相続発生から3年10か月以内」の期限を超えてしまわないように実行するようにして下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№400


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