遺言が(特に)必要な人

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2011.08.22


相続に関する実態アンケート(2011)

株式会社野村総合研究所より、「相続に関する実態アンケート(2011)」が公表されました。

それによると、「3,000万円以上の資産を相続によって受け取った層は、回答者全体の14.1%に上る一方で、自分の資産の相続について、遺言等を準備したり、生前贈与を考えたりしている人は少ない」という状況が明らかになりました。

具体的には、「遺言等を用意していない回答者が93.7%おり、うち55.8%は準備する必要があると感じていて、遺言は4.2%、エンディングノートやマイライフノートは2.3%の回答者が用意している」こともわかりました(複数回答)。

※2011年5月、株式会社野村総合研究所が「相続に関する実態調査アンケート(2011)」をインターネット上で実施。対象者は全国40~79歳の男女48,865名。

遺言とは

実際よく使われる遺言の形態には、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。

自筆証書遺言とは、「遺言者が紙に自ら遺言の内容の全文を書いて、更には、日付及び氏名を書き押印することにより作成する遺言」のことです。
自筆証書遺言は、費用がかからずいつでも書けるというメリットがありますが、法律的に見て不備な内容になってしまうと無効になるという恐れもあります。

一方、公正証書遺言とは、「遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授し、それに基づき公証人が遺言者の真意を文章にまとめて作成する遺言」のことです。
公正証書遺言は、若干費用がかかりますが、不備で遺言が無効になるという恐れはありません。
また、自筆証書遺言のように全文自分で書く必要がないので、自書が困難な場合等では特におすすめです。

更には、公正証書遺言では自筆証書遺言のように家庭裁判所での検認手続きが必要ありませんので、相続開始後速やかに遺言の内容を実現できます。

遺留分(いりゅうぶん)とは?

遺言を作成する時に注意しておかないといけないことは、「相続財産の一定割合について、一定の相続人に遺留分が認められている」ということです。

遺留分の権利がある人は、「配偶者」及び「子(又は代襲相続人)」、「直系尊属」となっていて、「兄弟姉妹」には遺留分は認められていません。
また、遺留分の割合ですが、ケースごとに以下のようになります。

配偶者のみ → 2分の1
配偶者と子1人が相続人 → 配偶者4分の1、子4分の1
配偶者と子2人が相続人 → 配偶者4分の1、子それぞれ8分の1ずつ
配偶者と母が相続人 → 配偶者3分の1、母6分の1
配偶者と兄弟姉妹が相続人 → 配偶者2分の1(兄弟姉妹は遺留分なし)

但し、遺留分を侵害している遺言であっても、直ちに無効となるわけではありません。

遺留分を取り返す権利を行使するかどうかは相続人の自由であり、相続人が「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせきゅう)」を行われなければ特に問題となるものではありません。

遺言が(特に)必要な人

遺言が特に必要な人というのを、公証人役場のHPより一部抜粋加筆修正してお伝えします。

1.夫婦の間に子供がいない場合
夫婦の間に子供がいない場合に法定相続となると、夫の財産は、妻が4分の3、夫の兄弟が4分の1の各割合で分けることになります。
しかし、長年連れ添った妻に財産を全部相続させたいと思う方も多いでしょう。
そうするためには、遺言をしておくことが必要です。
兄弟には遺留分がありませんから、遺言さえしておけば財産を全部愛する妻に残すことができます。


2.再婚をし先妻の子と後妻がいる場合
先妻の子と後妻との間ではとかく感情的になりやすく、遺産争いが起こる確率も非常に高いので、争いの発生を防ぐため遺言できちんと定めておく必要性が特に強いといえましょう。


3.長男の嫁に財産を分けてやりたいとき
長男死亡後、その妻が亡夫の親の世話をしているような場合には、その嫁にも財産を残してあげたいと思うことが多いと思いますが、嫁は相続人ではないので、遺言で嫁にも財産を遺贈する旨定めておかないとお嫁さんは何ももらえないことになってしまいます。


4.内縁の妻の場合
長年夫婦として連れ添ってきても、婚姻届けを出していない場合には、いわゆる内縁の夫婦となり妻に相続権がありません。
したがって、内縁の妻に財産を残してあげたい場合には遺言をしておかなければなりません。


5.個人事業の場合
個人で事業を経営したり、農業をしている場合などは、その事業等の財産的基礎を複数の相続人に分割してしまうと、上記事業の継続が困難となりましょう。
このような事態を招くことを避け、家業等を特定の者に承継させたい場合には、その旨きちんと遺言をしておかなければなりません。


6.各相続人毎に承継させたい財産を指定したいとき
上記の他、各相続人毎に承継させたい財産を指定したいときとか(例えば、不動産は、お金や預貯金と違い事実上皆で分けることが困難な場合が多いでしょうから、これを誰に相続させるか決めておかれるとよいでしょう)、あるいは、身体障害のある子に多くあげたいとか、遺言者が特に世話になっている親孝行の子に多く相続させたいとか、可愛いくてたまらない孫に遺贈したいとかのように、遺言者のそれぞれの家族関係の状況に応じて、具体的妥当性のある形で財産承継をさせたい場合には、遺言をしておく必要があります。


7.相続人が全くいない場合
相続人がいない場合には、特別な事情がない限り遺産は国庫に帰属します。
したがってこのような場合に、特別世話になった人に遺贈したいとか、お寺や教会、社会福祉関係の団体、自然保護団体、あるいはご自分が有意義と感じる各種の研究機関等に寄付したいなどと思われる場合には、その旨の遺言をしておく必要があります。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№246


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