スモールM&Aでの譲渡額の算定一例

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


譲渡額の算定方法は様々

会社は、資産などの【目に見える有形資産】もあれば、技術や利益が出る仕組みなどの【目に見えない無形資産】もあり、M&Aで会社を譲り渡すときに算定している譲渡額が、どのように計算されているのか疑問に思われた方も多いのではないでしょうか?

譲渡額の算定は、士業等専門家が譲渡側の経営者との面談や決算書等資料・現地調査などに基づいて算定を行っているケースが多いです。

バリュエーション(企業価値評価・事業価値評価)とも言われ、実は様々な手法があります。
例:簿価純資産法/時価純資産法/類似会社比較法<マルチプル法>など

今回は中小・小規模企業など、小さな会社のM&Aの現場でよく用いられる【簡便的価格算定方法】について詳しく解説致します。

『簡便的価格算定方法』の計算式

譲渡直前の利益金額 × 〇年分 + 時価純資産価額

<譲渡直前の利益金額>
営業利益や税引き後利益に、減価償却費の加味や、対象事業とは関係のない活動によって発生した利益金額などを考慮した金額をあてはめます。

<〇年分>
対象会社が今後利益をどれ程の期間出し続けられそうかで年数が変わります。
儲けの構造が長く続きそう・業種的に今後も利益が見込めそうなど、長く続きそうであれば長い年数をあてはめ、一過性の部分があるとなれば短い年数をあてはめます。
一般的には、「1年~3年」が多いです。

<時価純資産価額>
貸借対照表の資産および負債を時価算定して、その差額をあてはめます。
資産であれば在庫や機械などの資産を時価に洗い替えし、負債であれば退職金などの「隠れ負債」があればそれを考慮します。

上記の算定方法で譲渡企業・譲受希望企業にお話しすることで、双方からご納得頂けることが多いです。

算定した譲渡額は変動の可能性、大

M&Aの流れとしては、下記となります。

1.譲渡企業名などが判別されないように作成した企業概要書で譲受希望企業を募る。

2.お相手が現れたら秘密保持契約を結ぶ。

3.譲渡企業名や決算書等の詳細が開示され、譲渡企業・譲受希望企業との交渉がスタート。

4.順調に交渉が進むと、基本合意書を結び、他の譲受希望企業とのマッチングがストップされ、独占交渉となる。

5.譲渡契約の前に、譲受希望企業が士業等専門家等に依頼するなどして、デュー・ディリジェンス(DD)といって、財務・法務・ビジネス(事業)・税務等の実態について調査を行う。

このDDは、譲渡額の精査や、判明した実態を踏まえて譲渡後の事業改善点の想定を行うことなどを目的で行われることが多いです。

仮にDDで譲渡額の調整が必要な事柄が確認されると、譲渡額変更の申入れ・交渉となり、最終的に譲渡企業・譲受希望企業の双方が合意した譲渡額で譲渡契約の締結という流れになります。

その為、譲渡契約締結まで譲渡額は決定した金額ではないので、ご留意下さいませ。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№860


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