年収の壁、ついに改正に着手か?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


賃上げすればするほど、人出不足に?

岸田首相は2月1日、いわゆる「年収の壁」問題への対応策を検討すると表明しました。

現行制度では、一定以上の収入になると、社会保険への加入義務が発生したり、配偶者控除等の対象から外れるなどの問題があり、それが就労を抑える要因となっているためです。

特に最近、足元のインフレ、物価高騰が進んでおり、大企業を中心に大幅な賃上げを目指す動きがあります。
(「イオン、パート時給7%賃上げ 国内最多の40万人」日本経済新聞2/2朝刊)

ただし、パートやアルバイトの賃上げが進んでも、「年収の壁」が変わらない限り、年収を社会保険や扶養の範囲内で働こうとする方は少なからず存在し、結果としてそういうケースでは、年収は変わらず、就労時間が少なくなるだけ、ということになります。

今年の5月には、新型コロナウイルスについて、感染症法上の分類を季節性インフルエンザと同じ5類に移行させることが予定されており、経済正常化への動きが進む中、現場では人手不足が問題となっています。

就労時間が少なくなれば、パートやアルバイトを中心とする現場では、さらに人出不足が加速し、悪循環に陥ります。

企業側では、以前からずっと認識されていた問題だと思いますが、ようやく見直しの動きが出てきました。

「年収の壁」とは?

一般的に言われている「年収の壁」は、7つあります。

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・93万円の壁 →本人に住民税の均等割が発生する
・100万円の壁→本人に住民税の所得割が発生する
・103万円の壁→本人に所得税が発生する
・106万円の壁→以下のような条件で、本人に社会保険料が発生する
 (1)従業員数が101人以上
 (2)週労働時間が20時間以上
 (3)月収8.8万円(年収換算で106万円)以上 など
・130万円の壁→本人に社会保険料が発生する
・150万円の壁→本人の配偶者において配偶者(特別)控除が減額される
・201万円の壁→本人の配偶者において配偶者(特別)控除が適用されない

※配偶者(特別)控除を受けようとする納税者の合計所得金額が900万円を超えると、控除金額が減額され、1,000万円を超えると適用できません。
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2018(平成30)年の所得税から、配偶者(特別)控除を満額受けられる年収は103万円から150万円に引き上げられましたが、年収106or130万円を超えると社会保険料が発生し、逆に手取額が減ってしまうため、その金額以下に年収を抑える方が大半です。

また、「106万円の壁」については、2022(令和4)年10月から、対象企業の従業員数基準が501人以上から101人以上に拡大されており、2024(令和6)年10月には、さらに101人以上から51人以上に拡大する改正が予定されていますので、今後、対象となる方は増えることになります。

中小企業の現場にも直結する話ですので、早く改正の方向性が出てほしいと思います。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№833


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