上場株式等の配当を受けた場合の確定申告

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


上場株式等の配当等は所得税と住民税とで異なる課税方式を選択できます

確定申告の受付が2月16日から開始します(還付申告書はすでに提出可)。
スマートフォンでの申告も使い勝手がさらに良くなり、自主申告のハードルも低くなったのではないでしょうか。

ところで、上場株式等の配当等については次の3つの課税方式が選択可能です(大口株主を除く。以下同じ)。

1.申告不要
・配当が支払われる際に税率20.315%(所得税等15.315%と住民税5%)が源泉徴収され、課税関係が終了

2.総合課税による確定申告
・給与所得や不動産所得など他の所得と合計して税額を計算
・配当控除が受けられる
・所得税率は5%~45%の累進課税と復興特別所得税、住民税率は一律10%

3.分離課税による確定申告
・上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能
・税率は一律20.315%(所得税等15.315%と住民税率5%)

自身の所得税率、配当控除、株式の譲渡損失の有無等を総合勘案したうえで、有利な方法を選択することができます。

住民税で申告不要を選択するメリット

所得税において総合課税または申告分離課税を選択して申告した場合は、原則住民税においても同じ課税方法が適用されます。

申告不要以外の課税方式を選択して申告した場合は、配当所得が総所得金額等および合計所得金額に含まれることになり、以下の制度適用に影響を及ぼすおそれがありますので、注意が必要です。

扶養控除や配偶者控除の適用・非課税判定・国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険制度の保険料や保険給付(給付割合・自己負担限度額など)・各種医療証の区分・子ども・子育て支援制度の利用者負担額(保育料)・公営住宅の家賃等

なお、現状では「所得税と住民税で異なる課税方式を選択」することが認められています。
所得税と住民税とで異なる課税方式を選択することにより、例えば、所得税は申告により税額軽減し、住民税は申告不要とし所得割りに影響させないといういいとこ取りが可能となります。

令和3年分より上場株式等の配当所得等の課税方式選択が簡便に!

住民税の申告を所得税と異なる課税方式で行う場合、納税通知書が送達される時までに、別途住民税の申告書の提出が必要でした。

この点について、令和3年分からは、申告書2面の下部の住民税に関する事項「特定配当等の全部の申告不要」欄の記載に〇を付せばよいことになりました。

ただし、上場株式等の配当所得と譲渡所得の両方の所得がある場合は、その両方の所得とも「申告不要」とする場合に限られます。
住民税において配当所得、株式等に係る譲渡所得の一部でも申告するものがある場合はこの方法を適用できないなど制限があるので、注意してください。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№783


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