マイナス金利が中小企業に与える影響

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


マイナス金利とは?

日本銀行(日銀)が1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利」の導入を決定し、2月16日から既にスタートしています。
その影響も、じわりじわりと中小企業経営に影響を及ぼし始めています。

では、マイナス金利とは、具体的にどういったことなのでしょうか?

通常お金を貸すと(預金をすると)利子をもらえるものですが、マイナス金利では、原則的には預けたお金に応じて利子を支払わなければならないことになります。
ただし、今回の日本でスタートしたマイナス金利政策では、企業や個人には直接影響させず、「日銀と各金融機関における金利でのみ影響させる」ことになりました。

つまり、金融機関が2月16日以後に日銀にお金を預けると、逆に利子を払わなければならないことになったのです。

このことが、どのように中小企業に影響を与えるのでしょうか?
勘のいい人はお気づきになられたのではないでしょうか?

銀行からの借入要請が急増!

そうです、金融機関からすると、預金などで集めたお金を日銀に預けると逆に利子を払わなければならないのですから、「そのお金を企業融資に振り向けたい」というインセンティブが働くのです。

日銀の黒田総裁も、いやもっといえばアベノミクスを主導する政府も、マイナス金利の狙いは当然にそこにあったわけです。

マイナス金利は、いわば景気対策(円安に向かわせて株高も狙う)です。(本当に景気対策になるのでしょうか?)
特に先月は年度末ということもあり、銀行から皆さん(経営者や経理担当者)宛てに、「○千万円借りてもらえませんか?」という依頼が多かったのではないでしょうか?

当社にも、経営者などから、「必要ない資金だけど、むげに断るのも良くないだろうし、どうしたらいい?」というご相談を多数頂きました。

必要のない資金は借りない

これに対する答えは、シンプルです。
必要のない資金は借りない、です。

元々資金ニーズがあった、若しくは、借りてあげると不動産を紹介してくれるなどの具体的メリットがある場合は別ですが、一般的にはあれこれ理由を付けて穏便に断る、です。

では、こんな対応をしてデメリットはないのでしょうか?
例えば、半年後に売り上げが急減して、借入したいと思った時に借りられなかったり、金利条件が悪くなったりするのでしょうか?
現在の融資は、ほぼすべて企業の決算書を元にした格付け融資です。支店長の裁量はほぼありません。

また、マイナス金利は当面続きますので、金融機関は当面ずっと貸先を探すことになるでしょう。
これらを総合勘案すると、一般的にはお付き合いでの借入は無理にしなくとも、全く問題ないといえるでしょう。

必要のない資金は借りない、本当の理由

融資基準が緩むと、バブルが起こる。
これは歴史からの教訓です。

マイナス金利からくる現在の日本の経済状況を個人的に概観すると、バブルの芽が起こっているなぁとみています。
若干専門的になりますが、不動産を例にあげると、借入金利が下がると、いわゆるキャップレート(国債金利+リスクプレミアム=期待利回り)も下がります。

キャップレートが下がるということは、不動産価格が上昇するということです。
実際、2015年2月にマイナス金利を導入したスウェーデンでは、住宅価格指数が10%以上上昇しました。

一方、必要のないお金であっても、実際借りて会社の通帳の預金残高が通常より○千万円多くなったら、経営者の感覚狂いません?

ちょっと、気持ちが大きくなってしまわないでしょうか?
「あ、そういえばあの新しい機械、欲しかったんだよね?」とか、「不動産屋があそこの店舗空くっていってたな。出店しようか?」とか、なかには、「あの車?時計?」とか。
元々機械を買おうと考えていたのでしたら、元々出店を考えていたのでしたら、現在は金融面からみると絶好の投資機会かもしれません。

しかし、バブルの芽が起こっているのが現在の状況。必要のない資金があると、余計なことを考えてしまうもの。

結論としては、必要のない資金は借りないのが、一般的にはベターではないかと思います。

※例えば5年後とかに、あの時のマイナス金利の影響であそこの会社傾いた、ということにならないようにしましょう。

マイナス金利下で、経営者は何をするべきか?

答えは、借り換えです。
2%3%で借りている借入を、借り換えしてみてはいかがでしょうか?

また、個人的な住宅ローンなんかも残高が1,000万円以上あるようなら、同様に借り換えを検討されていいのではないでしょうか。

更には、元々予定されていた機械などへの投資や出店計画は、以前よりも金融面でより有利に働くでしょうから、マイナス金利だからというのではなく、今まで通りの経営判断の元に、粛々と進められるのが良いでしょう。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№483


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