信用保証制度が大きく変わる?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


保証付き融資のみの融資は今後、原則禁止か

さて、昨年後半から、中小企業に対する信用保証制度の見直しが議論されています。経済産業省と自民党が中心に行っており、平成28年11月29日に下記の見直し案がまとめられました。

経済産業省は、今年の通常国会に中小企業信用保険法の改正案を提出し、18年度の実施を目指す意向のようです(日本経済新聞H28.11.26朝刊)

もし実現すれば、中小企業にとって大きな影響があります。
上記提言の内容を簡単にまとめます。

1.保証付き融資とプロパー融資を組み合わせた融資提案を進める
2.既存の不況業種向けのセーフティネット保証(5号)については、保証割合を100%から80%に引き下げる
3.小規模事業者向けの100%保証の限度額を1,250万から2,000万円に拡充する
4.創業者向けの100%保証限度額を1,000万円から2,000万円に拡充する
5.後継者に対する自社株取得費用や事業撤退費用を保証対象とする
6.メインバンクの事業性評価能力が不十分で融資継続が困難となる場合に、他の金融機関を紹介する機能を強化する

あくまで見直し案であり、最終決定ではありませんが、実現した場合に最も影響が大きいのは、1でしょう。

保証付き融資を実行する場合には、原則プロパー融資とセットにしなければならないというものです。

責任共有制度の導入により、信用保証協会の一般保証は原則100%保証から80%保証になりましたが、融資現場では、引き続き保証付き融資が優先される現状が続いています。プロパー融資とのセットを原則にすることで、金融機関に一定のリスク負担を求める狙いがあります。

ただその場合、金融機関がリスク回避のため、融資を絞る可能性があるため、小規模事業者向けや創業者向けの融資にはプロパーセットを求めず、限度額も厚くする一方、保証協会に他の金融機関への紹介を強化させることで、金融機関同士での競争を促し、健全な融資環境を整えていこうという意図があります。

金融庁が進める金融機関改革

背景には、金融庁の姿勢の変化があります。

現在、金融庁長官を務める森信親長官は、いわゆる”森ドクトリン”といわれる方針を掲げ、これまでの不良債権処理中心の金融監督方針を大きく転換させています。
担保や保証に依存しない地元企業への融資など地域貢献を重視する姿勢を明確にし、平成28年9月には、銀行との対話で使う55項目のベンチマークが設定されました。

ベンチマークの中には、地元中小向け融資のうち無担保・無保証の割合、創業支援した取引先数、主取引先のうち経営改善提案をしている件数などが含まれており、積極的に金融機関改革を進めようとしています。

今回の信用保証制度の見直しについても、その流れの中に位置づけることができます。今後も当面、この流れは続くものと思われます。

今年は、金融庁・金融機関の動きに注目です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№521


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