相続税・贈与税について議論されていること

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2022.11.21


ただいま議論されていること

12月中旬には、令和5年度与党税制改正大綱が発表される予定ですので、ただいま議論の真っ最中です。
議論されている内容について、実は私たちにも公開されています。

その中に、令和4年11月8日に開催された税制調査会の資料「資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築に向けた論点整理」があります。

ご関心のある方も多いと思われますので、先取りシェア致します。

さて、日本の相続税・贈与税は別個の税体系を採用しており、贈与税は相続税の累進負担の回避を防止する観点から、相続税よりも高い税率構造となっています。

実際、相続税がかからない人や相続税がかかる人であってもその多くの人にとっては、相続税の税率より贈与税の税率の方が高いため、生前にまとまった財産を贈与しにくく、若年世代への資産移転が進みにくい状況となっています。

他方、相続税のかかる人の中でも相続財産の多いごく一部の人にとっては、財産を生前に分割して贈与する場合、相続税より低い税率が適用されることになります。

例えば、大資産家で相続人に係る相続税率が50%の人が、毎年、子供や孫10人に310万円ずつ贈与するとします。
贈与税はもらった人が納付しますが、税額は(310万円-110万円)×贈与税率10%=20万円/人×10人で200万円です。
310万円×10人=3,100万円の財産を贈与税額200万円で移転できるわけです(実効税率200万円/3,100万円≒6.45%)。

ここのポイントは、相続税率が高い人であればあるほど、生前贈与のメリット大きくなるということです。

そこで、それはいかがなものかと、「生前贈与でも相続でも、ニーズに即した資産移転が行われるよう、資産移転の時期により中立的な税制を構築していく必要がある」という議論がされているのです。

現行の暦年課税における相続前贈与の加算は3年

現在、相続開始前3年内の贈与については、生前における分割贈与による相続税負担の軽減を図ることを防止する観点から、相続財産に加算する形で相続税が計算されています。

「相続3年前贈与は、税金の計算上は相続財産」というセオリーです。

そこで、資産移転の時期の選択により中立的な税制を構築していく観点からは、諸外国の例も参考にしつつ、現行の加算期間を延長することが適当でないかと、記載されています。

また、現行の加算期間は昭和33年改正で設定されたものであり、近年の税務行政がデジタル化が進展していることや、寿命が大きく延びたことにより生前贈与できる期間が長くなっていること、認知症が増加していること等の状況変化についても考慮する必要があるのではないか等も、議論に上っています。

参考までに諸外国の期間です。
アメリカ:過去全て
イギリス:過去7年分
ドイツ:過去10年分
フランス:過去15年分

実は、期間だけでなく相続税・贈与税の課税方式そのものも長らく議論されています。

ちなみに日本は『法定相続分課税方式(併用方式)」を採用しており、遺産課税方式(米・英)と遺産取得課税方式(独・仏)のそれぞれの方式の長所を取り入れたものという長所がある面、他の相続人が取得した全ての財産を把握しなければ正確な税額の計算・申告ができない等の短所があります。

現行の暦年贈与110万円まで非課税はいつまで使えるのか、関心の高い内容です。

冒頭で12月中旬に税制改正大綱が発表されると書きましたが、弊社開催次回セミナーのテーマは『どこよりも早い「税制改正【超】速報」』となっています。

「まだ発表されていないのにどうして?」

という疑問にお答えすると、今回お伝えした内容のように、税制調査会の資料や令和4年度補正予算案から読み解いて、想定される令和5年度税制改正大綱をどこよりも早くお伝えしたいと思います。

先に予習してから新聞報道を読むと、より理解が深まります。

ご興味ある方は、下記からお申込みを願います。
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https://www.money-c.com/mcs/mcs72/mcs72.html

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№823


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