実家の空き家をどうしたらよいか?

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2016.05.02


田舎で1人暮らしの父親が老人ホームに入って、実家は空き家

最近、空き家が社会問題になっています。老人ホームなどに入居した、相続が発生したなどの原因で空き家となる不動産が増えています。

実際に、ご自身が直面されている、という方もおられるのではないでしょうか。
そこで今回は、最近の法改正も含めて、対処法をまとめてみたいと思います。

例えば、こんなケースを考えてみます。
・田舎で父親が1人暮らし
・今回、父親が老人ホームに入ることになった
・このままだと、実家は空き家になってしまう


<相続開始前>

1.売却
もし、父親が戻ってくる見込みがなく、実家の売却を検討する場合、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すれば、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円控除が受けられます。

田舎の旧家であれば、取得費がわからずに、多額の売却益が出る場合がありますので、3,000万円控除が使えるかどうかで、最大約600万円(=3,000万円×20%)税金が変わります。
売却するまでの間、自宅の用途は問われません。賃貸に出していたとしても、OKです。

ただし、建物を取り壊した場合には、家屋を取り壊した日から1年以内に売却しなければならず、取り壊し後は、その敷地を貸駐車場などその他の用に供することもできません。

また、建物を取り壊すと、固定資産税の住宅用地の特例を受けられなくなりますので、固定資産税が高くなります。一般的には、あまり早い段階で建物を取り壊すのは、要注意です。


2.賃貸
売却せずに、第三者に賃貸する方法もあります。
この場合、相続発生後は、小規模宅地の評価減の対象となります(200平米まで 50%減)。


3.居住(相続開始前)
父親の子供などが居住する場合、一般的には、別生計親族の土地として、小規模宅地の評価減の対象外となります。


4.保留
いつでも戻ってこれるように、実家を残しておく、というのが一番多いケースかもしれません。

この場合、相続の開始直前において要介護認定を受けている、などの要件を満
たせば、相続税の計算において、小規模宅地の評価減の対象となります(詳細は後述)。

相続後の売却には、2つの優遇税制あり

<相続開始後>

5.居住(相続開始後)
もし、この時点で誰かが実家に住むとした場合、上記4で、小規模宅地の対象となっていれば、相続税の計算において評価減が受けられる可能性がありますので、それも考慮しながら誰が相続するかを決めることになります。

ただし、この場合、持ち家所有の相続人が相続しても、小規模宅地の評価減は受けられません。賃貸暮らしの相続人がいればその方が相続する、いなければ、持ち家のない孫に相続させる、などの工夫が必要です。


6.売却
相続で取得した不動産を売却する場合、2つの優遇税制があり、いずれか有利な方を選択することができます。

1つは、空き家に係る譲渡所得の3,000万円控除です(H28年度税制改正新設)。
おおまかには、以下の要件を満たす場合に、売却益から3,000万円が控除されます。
・相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡
・耐震性のない家屋を耐震リフォームをするか更地にして譲渡

もう1つは、相続税の取得費加算特例です。
相続開始後3年10ヶ月以内に売却すれば、支払った相続税のうち、その譲渡した土地に係る分の相続税を、売却益から経費として控除できます。平成26年末までに発生した相続の場合には、売却していない土地に係る相続税も控除することができます。


なお、相続開始後に売却する場合、納税資金の確保等のために、相続税の申告期限までに売却したい場合は、小規模宅地の評価減は適用できませんので、ご注意下さい(配偶者以外の場合)。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№487


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