民法(相続法)が変わる!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2018.04.02


民法(相続関係)の大改正

今、民法が大きく変わろうとしています。

既に債権関係については、平成29年6月2日に改正民法が公布され、平成32年4月1日に施行されます(一部例外あり)。

そして、次に相続関係についても、約40年ぶりの改正が予定されています。既に改正法案は平成30年3月13日に閣議決定され、現在開会中の国会に提出される予定となっています。

そこで、今回は相続関係の民法改正について、おおまかな内容をお伝えしたいと思います。

内容は、大きく以下の5つに分かれます。
1.配偶者の居住権の新設
2.遺産分割の見直し
3.遺言制度の見直し
4.遺留分制度の見直し
5.相続人以外の者の貢献

配偶者の居住権の新設

まず、1つ目は配偶者の居住権の新設です。
被相続人の配偶者が住んでいた自宅に、相続後も住み続けられるようにするために、「配偶者居住権」を新設してその権利が確保されます。

配偶者居住権には2種類あり、短期居住権と長期居住権があります。

短期居住権により、原則として遺産分割により自宅を誰が相続するかが確定した日、又は相続開始から6ヶ月が経過する日のいずれか遅い日まで、配偶者の居住権が確保されます。

長期居住権は、相続発生時に被相続人の自宅に同居していた配偶者については、原則として亡くなるまでの間、その自宅に無償で住み続けられる権利です。

改正後は、自宅の権利は、「所有権」と「配偶者居住権」に分離されます。
配偶者は、遺産分割において自宅の「所有権」は別の相続人になったとしても、「配偶者居住権」を取得することができるようになります。

「配偶者居住権」の評価は、所有権よりも低くなるため、遺産分割において自宅以外の財産をより多く確保できるようになります。

遺産分割の見直し

また、遺産分割においては、主に次の2つの見直しが予定されています。

1つは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、自宅の建物やその敷地が遺贈、贈与されたときは、その建物や敷地を遺産分割の対象から除外することができるようになります。

もう1つは、預貯金の仮払制度の創設です。
遺産分割が確定していなくても、葬儀費用などに充てるために、被相続人の預貯金の一部を相続人が引き出すことができるようになります。

遺言制度の見直し

自筆証書遺言については、主に次の2つの見直しが予定されています。

1つは、自筆証書遺言の方式の緩和です。
これまでは、全て自筆によることが要件とされていましたが、財産目録を別紙で添付する場合に限り、その財産目録についてはパソコン等で作成することが認められるようになります。

もう1つは、自筆証書遺言の保管制度の新設です。
これまで、公正証書遺言については公証役場に保管されていましたが、自筆証書遺言については、自分で管理する必要がありました。

今後は、遺言者が法務局に自筆証書遺言を保管申請できるようになります。

遺留分制度の見直し

現在の遺留分の計算において算入される贈与の範囲は、相続人については原則全ての期間の贈与が対象となります。

改正後は、相続人に対する贈与については、相続開始前10年間にされたものに限り対象となる予定です。

相続人以外の者の貢献

現在、相続人が被相続人の介護などに貢献した場合、「寄与分」が認められていますが、相続人以外については、認められていません。

改正後は、相続人以外の被相続人の親族についても、被相続人の介護などで貢献した場合は、相続人に対して金銭を請求できるように予定されています。

今回の内容は、国会を通過するまでは最終決定ではありません。内容が変更される可能性もありますので、御留意下さい。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№584


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