生前の整理が事業承継対策のキモ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


事業承継の取り組みは進んでいない

2012年の帝国データバンクによると、社長の平均年齢は現在約60歳で、日本の人口構成と比例して年々上昇しています。

また、2005年の三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)によると、後継者を既に決めている会社のうち、事業承継の準備について「何もしていない」「準備が不十分」が合計80%となっています。

つまり、日本の経営者(特に中小企業)は年々高齢化しているにも関わらず、ゴーイングコンサーンに通常必要な事業承継の準備は、あまり前進していないということです。

生前の整理が事業承継対策のキモ

事業承継にあたって、現経営者(お父さん)の方に出来るだけ早く進めておいてほしいのが、以下の3つの整理です。

〔事業承継を円滑に進めるための3つの事前整理〕
1.株式の整理
2.資産・負債の整理
3.関係会社の整理

(自社)株式の整理

これは、現経営者が元気な内に、なるべく(出来れば2/3以上)自社の株式を現経営者又は後継者に集中させておいてください、ということです。
よくあるのは、過去の商法制度や相続、中には他社との株式持ち合いなどで、自社株式が社長等以外の人や会社に散在しているケースです。

現経営者が元気なうちは、会社が乗っ取られたり、経営の舵取りに対して直接文句を言われたりなどの弊害はないでしょうが、事情を知らない後継者だけとなった場合には、そもそも会社の存続が厳しくなることもあります。
現経営者の目が黒い内に、株式持ち合いの解消、株式の買い取り、名義株の整理を、必ず実行しておいてください。

このとき同時に、決算における法人税申告書別表2の株主一覧もきちんと修正しておくようにしましょう。

資産・負債の整理

会社の資産や負債、また現経営者個人の資産や負債も、生前にきちんと整理しておいてください。
特に、個人の負債については、相続時に問題となることが多いですので、なるべく無くす方向で調整してください。

また、会社と個人共にですが、他社などに対して保証行為をしているのであればそれはぜひ一覧などにしておいて、自分がまさかの時にも後継者等がきちんと対応できるようにしておきましょう。

当然ですが、この保証行為も生前に無くす方向で調整してください。
個人の負債や保証行為は、相続の対象となり、原則相続人に相続されますのでご注意ください。

一方、会社資産においても、遊休資産や過去の遺物となっているような資産であれば、事情がわかっている現経営者が健在な内に処理をしておくほうがいいでしょう。

関係会社の整理

複数の会社を経営している場合で、既にその役割を果たしていない場合などは、これも出来るだけ生前に、整理しておきましょう。
現在では、企業組織再編税制が整備されて、会社の分割や合併等が容易に行えるようにもなっていますので積極的に活用しましょう。

一方、関係会社の整理には、物や人も同時に整理しておかなければならないこともあるでしょう。
当然にこれらの処理も、会社を作った事情を知らない後継者が行うより、事情を十分把握している現経営者が行う方がスムーズかと思います。

いざ、事業承継対策を行っていこうと思っても、通常は血のつながりのある親族内で人対人のコミュニケーションになりますから、どうしても億劫になり後回しになったり、お互いの意地の張り合いになったりします。

でも、以上述べた3つの事前整理「株式の整理、資産・負債の整理、関係会社の整理」は、現経営者単独で出来る部分が多くありますので、ぜひ早めに実行してください。

私たちでお手伝いできることがあればご連絡下さい。

この話が経営者の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№295


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