自社の株価を知るべきこれだけの理由
(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。
もくじ
自社の株価を把握していますか?
昨今、経営者の高齢化や後継者難で、事業承継の重要性について語られる場面が非常に増えています。
一口に事業承継といっても、その中身は様々ですが、数字面においてその中心となるのは、自社株評価です。
経営者の皆さんは、ご自身の会社の株価を即答できるでしょうか?恐らく大半の方は、わからないと答えられると思います。
決算書を見れば、簿価ベースでの純資産価額はある程度把握することができますが、その数字はあくまで「簿価ベース」です。
実際に事業承継対策として行われる生前贈与や売買、また相続が発生した場合に使われる株価は、「税務上の」株価です。そこでは、「時価ベース」での純資産価額と、上場企業の利益等と比較した類似業種比準価額が使われます。
「昔、1回株価を計算したことがあるから大丈夫」と言われる方もいらっしゃいますが、平成29年から評価方法が改正されたため、以前の株価とは変わっている可能性があります。改正により、株価が上がる場合も下がる場合もあるため、その影響は読み切れません。
ましてや、毎期の利益や純資産などの状況により株価が変動する上、上場企業の数字によっても株価は左右されます。
こういった自社の株価の動向を把握しておくことが、事業承継対策のスタートとなります。
株価という視点を持つと、決算に対する考え方にも選択肢が増えます。
例えば、当期が赤字決算になりそうだ、という場合、何とか黒字に持っていけるようにする、というのはもちろん重要なことですが、逆に来期を確実に黒字化させるため、あえて当期は赤字を増やして株価を下げ、下がった株価を使って生前贈与する、という選択も出てきます。
自社株評価をすべき会社は?
会社の規模などにより、自社株評価をしなくてもある程度株価は推測できる、という会社もありますが、例えば以下のような会社は株価が高い可能性がありますので、自社株評価をされておくことをお勧めします。
- ・不動産を多く所有している会社
- ・グループ法人の株式を多く所有している会社
- ・社歴の長い会社
- ・含み益のある資産を所有している会社
- ・生命保険等で簿外に多額の資金がある会社
- ・ここ数年、好業績が続いている会社
- ・毎年、高水準の配当を続けている会社 など
これからは、自社株が高くても心配ない?
非上場株式に係る贈与税や相続税については、納税猶予制度があります。
この納税猶予制度について、今年改正が行われ、しかるべき手続きを踏めば、自社株の100%の納税猶予(最終的に要件を満たせば免除)が可能となりました。
「じゃあ、株価が高くても、別に問題ないんじゃないか」と思われるかもしれませんが、納税猶予の手続きはやはりそれなりに大変です。最終的に免除まで持っていけるとしても、その間の事務や管理コストは、それ相応のものがかかります。
もちろん、要件を満たせば、非常に強力な優遇制度となりますので、選択肢としては必ず検討すべきものですが、いずれにしても、そのスタートとなるのは、「自社株評価」です。
納税猶予制度が拡充されたからこそ、今、自社株評価が必要ではないかと思います。
なお、弊社でも株価計算及び納税猶予制度の手続支援を行っております。初回相談は無料とさせて頂いておりますので、お気軽にご相談下さい。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
メール通信№593
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