最新税務ニュース
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(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


最新税務ニュース396 2015.3.31
出国時の株式譲渡所得課税の特例~平成27年度税制改正大綱

■現状です

租税条約上、株式等のキャピタルゲインについては、「株式等を売却した者が居住している国」に課税権があるとされています。
日本では、株式等のキャピタルゲインについては、通常約20%の課税がなされますが、例えば、シンガポールや香港などでは株式キャピタルゲインが非課税となっています。

これらをうまく利用すると、巨額の含み益を有する株式を保有したまま、キャピタルゲイン非課税国に出国し、その後に売却することにより、課税逃れを行うことが現状では可能となってしまいます。

■「出国時の株式譲渡所得課税の特例」の創設

上記のような課税逃れに対応するため、一定の高額資産家を対象に、出国時に未実現のキャピタルゲイン(含み益)に対して特例的に課税が行われる予定です。

ここで、この「出国時の株式譲渡所得課税の特例」の対象者となる一定の高額資産家とは、「出国時の有価証券等の評価額が1億円以上で、かつ、出国直近10年内において5年を超えて居住者であった者」です。

ちなみに、この制度を導入している国としては、「アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、カナダ」があります。
但し、納税者においてはいまだ株式を売却したわけではないので、納税資金が不十分となるため、納税猶予を選択できることとされる予定です。

■平成27年7月1日から適用スタート

対象となるのは有価証券等となっていますので、もちろん同族株式も該当します。
また、納税猶予制度があるとはいえ、一般のサラリーマンも海外勤務となる場合は注意が必要です。

以下長いですが、該当しそうな方は重要かと思いますので、税制改正大綱より引用します。

≪出国時の株式譲渡所得課税の特例≫
1.特例の概要
国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう、以下同じ)をする居住者が、所得税法に規定する有価証券若しくは匿名組合契約の出資の持分(以下「有価証券等」という)又は決済をしていないデリバティブ取引、信用取引若しくは発行日取引(以下「未決済デリバティブ取引等」という)を有する場合には、その国外転出の時に、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額によりその有価証券等の譲渡又はその未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。
イ.その国外転出の日の属する年分の確定申告書の提出時までに納税管理人の届出をした場合
その国外転出の時におけるその有価証券等の価額に相当する金額又はその未決済デリバティブ取引等の決済に係る利益の額若しくは損失の額
ロ.上記イに掲げる場合以外の場合
その国外転出の予定日の3ヵ月前の日におけるその有価証券等の価額に相当する金額又はその未決済デリバティブ取引等の決済に係る利益の額若しくは損失の額

2.特例の対象者
本特例は、次のイ及びロに掲げる要件を満たす居住者について、適用する。
イ.上記1イ及びロに定める金額の合計額が1億円以上である者
ロ.国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年超である者
(注)上記の「国内に住所又は居所を有していた期間」には、下記4の納税猶予を受けている期間を含み、出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって在留していた期間を除く。

3.国外転出後5年を経過する日までに帰国をした場合の取扱い
本特例の適用を受けた者が、その国外転出の日から5年を経過する日までに帰国をした場合において、その者がその国外転出の時において有していた有価証券等又は未決済デリバティブ取引等でその国外転出の時以後引き続き有していたものについては、本特例による課税を取り消すことができる。
ただし、その帰国までの間に、その有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る所得の計算につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部の隠蔽又は仮装があった場合には、その隠蔽又は仮装があった事実に基づくその所得については、この限りでない。
この課税の取消しを行う場合には、帰国の日から4ヵ月を経過する日までに、更正の請求をしなければならない。

4.納税猶予
イ.国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は未決済デリバティブ取引等につき本特例の適用を受けたものが、その国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、その国外転出の日の属する年分の所得税のうち本特例によりその有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係る部分については、その国外転出の日から5年を経過する日(同日前に帰国をする場合には、同日とその者の帰国の日から4ヵ月を経過する日のいずれか早い日)まで、その納税を猶予する。
ロ.この納税猶予は、その所得税に係る確定申告書の提出期限までに、納税猶予分の所得税額に相当する担保を供し、かつ、納税管理人の届出をした場合に適用する。
ハ.納税猶予の期限は、申請により国外転出の日から10年を経過する日までとすることができる。この場合における上記3による課税の取消しは、国外転出の日から10年を経過する日までに帰国をした場合に適用することができる。
ニ.納税猶予を受けている者は、納税猶予の期限までの各年の12月31日(基準日)におけるその納税猶予に係る有価証券等及び未決済デリバティブ取引等の所有に関する届出書を、基準日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。その届出書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限の翌日から4ヵ月を経過する日をもって、納税猶予の期限とする。
(注)納税猶予の期限の到来により所得税を納付する場合には、その納税猶予がされた期間に係る利子税を納付する義務が生じる。以下同じ。

5.納税猶予の期限までに有価証券等の譲渡等があった場合
イ.本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合には、その納税猶予に係る所得税のうちその譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4ヵ月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする。
ロ.本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに、本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合において、その譲渡に係る譲渡価額又は決済に係る利益の額が国外転出の時に課税が行われた額を下回るとき(決済に係る損失の額にあっては上回るとき)等は、その譲渡又は決済等があった日から4ヵ月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。

6.納税猶予の期限が到来した場合の取扱い
納税猶予の期限の到来に伴いその納税猶予に係る所得税の納付をする場合において、その期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利益の額若しくは損失の額が、本特例の対象となった金額を下回るとき(損失の額にあっては上回るとき)は、その到来の日から4ヵ月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得税額の減額等をすることができる。
(注)この取扱いは、納税猶予の期限が到来する日前に自ら納税猶予に係る所得税の納付をする場合には、適用しない。

7.二重課税の調整
イ.本特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予の期限までに本特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をし、その所得に対する外国所得税を納付する場合において、その外国所得税の額の計算上本特例により課された所得税について二重課税が調整されないときは、その外国所得税を納付することとなった日から4ヵ月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その者が国外転出の日の属する年においてその外国所得税(納税猶予に係る所得税のうちその譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分に相当する金額に限る)を納付するものとみなして、外国税額控除の適用を受けることができる。
(注)有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等による所得が国内源泉所得に該当する等の一定の場合は、上記イの対象外とする。
ロ.居住者が、本特例に相当する外国の法令の規定により外国所得税を課された場合において、その対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をしたときは、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得費に算入する金額は、その外国の法令の規定により収入金額に算入された金額とする。

8.更正の期間制限の取扱い
イ.本特例による所得税(その所得税に係る確定申告書の提出期限までに納税管理人の届出及び税務代理権限証書の提出がある場合として定める一定の場合を除く)の更正の期間制限を7年(現行5年)とする。
ロ.上記3、5ロ、6又は7イによる更正の請求があった場合の更正については、更正の請求の基因となった理由が生じた日から3年間とする期間制限の特例の対象とする。

9.納税猶予の期限を延長した場合の相続税等の納税義務の取扱い
上記4ハにより納税猶予の期限を延長した者は、相続税又は贈与税の納税義務の判定に際しては、納税猶予がされた期間中は、相続若しくは遺贈又は贈与前5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していた場合と同様の取扱いとする。

10.贈与、相続又は遺贈により非居住者に有価証券等が移転する場合
上記2イ及びロに掲げる要件を満たす者の有する有価証券等又は未決済デリバティブ取引等が、贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転した場合には、その贈与、相続又は遺贈の時に、その時における価額に相当する金額により、その有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。

(注1)この特例(上記7ロを除く)は、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈について適用する。
(注2)上記7ロの特例は、平成27年7月1日以後に国外転出に相当する事由があった場合等について適用する。

※今回の内容は国会を通過するまでは正式な決定事項ではありませんのでご注意ください(政治が安定していますのでこのまま決まる可能性が高いと思われますが)。

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