相続後はチャンス!相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2013.05.14


相続後は、土地を売る絶好のタイミング

相続により被相続人から不動産を引き継いだ場合、現金が少なく、相続税の納税に苦慮するようなケースでは、その不動産を売却することがある。その際にぜひ知っておきたいのが、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例である。

この特例は、相続税の課税対象となった相続財産の譲渡が相続の直後に行われる場合、特に相続税納付のために相続財産の譲渡が行われる場合には、その相続財産に対して課される相続税のほか、値上がり益である譲渡所得金額に対して所得税が相次いで課されることとなるため、この相続税と所得税の負担の調整を図るという趣旨で昭和45年に創設されたものである。

土地等については、特例あり

具体的には、相続により取得した土地、建物、株式などを一定期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものである。この特例を受けるための要件は、以下の3つである。

 ① 相続や遺贈により財産を取得した者であること
 ② その財産を取得した人に相続税が課税されていること
 ③ その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

取得費に加算できる相続税の額は、土地等を売却した場合には、その土地等を売却した人にかかった相続税額のうち、その者が相続や遺贈で取得したすべての土地等(注)に対応する額となり、土地等以外の財産(建物や株式など)を売却した場合には、その財産を売却した人にかかった相続税額のうち、譲渡した建物や株式などに対応する額となる。

このように、土地等を売却した場合には、「“譲渡した土地等”に対応する相続税額」だけでなく、「“相続や遺贈で取得したすべての土地等”に対応する相続税額」を加算できる仕組みとなっており、非常に有利な制度となっている。

(注)土地等には、相続時精算課税の適用を受けて、相続財産に合算された贈与財産である土地等や、相続開始前3年以内に被相続人から贈与により取得した土地等が含まれ、相続開始時において棚卸資産又は準棚卸資産であった土地等や物納した土地等及び物納申請中の土地等は含まれない。

今後の税制改正に注意

特例創設当初は、土地等とそれ以外の資産に区別することなく、「譲渡した相続財産に対応する相続税相当額」とされていたが、平成5年度税制改正において、現行の形になった。

ただし、それから20年近くが経過し、地価の下落や物納申請者の大幅な減少など、当時と大きく状況が変わる中で、会計検査院はこの特例の見直しについて意見表示している(平成24年10月19日)。この指摘を受け、今後の税制改正において見直しが検討される可能性があるため、これからの動きには十分注意して頂きたい。

税務ニュース№322


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