消費税、税率以外で重要な改正あり(平成23年度税制改正)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


消費税率は据え置きでも・・・

先日12/16に政府税制調査会より、平成23年度税制改正大綱が発表された。改正内容は多岐に渡るが、今回はその中で消費税の改正を取り上げたい。

消費税については、当初管首相が消費税率上げを模索していた時期もあったが、最終的には先送りになった。ただし、税率以外の部分において、一部の事業者に大きな影響がある項目が2つ含まれている。

事業者免税点制度の見直しには特例あり

1つは、事業者免税点制度である。現在は、基準期間(個人の場合は前々年、法人の場合には、原則前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下である場合や、個人事業者の事業開始後原則2年間、資本金1,000万円未満の法人の設立後原則2事業年度は、免税事業者となる。それが今回の改正で改められることとなった。

具体的には、上記の免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1,000万円超の事業者については、事業者免税点制度を適用しないこととなった。

(1)個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの間の課税売上高

(2)法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く)開始の日から6月間の課税売上高

(3)法人のその事業年度の前事業年度が7月以下の場合で、その事業年度の前1年以内に開始した前々事業年度があるときは、当該前々事業年度の開始の日から6月間の課税売上高(当該前々事業年度が5月以下の場合には、当該前々事業年度の課税売上高)

つまり、事業年度が1年であることを前提にすると、事業年度の前半6ヶ月で課税売上高が1,000万円を超えてしまうと、免税事業者も翌事業年度から課税事業者になってしまうことになる。

ただし、この取扱いには特例があり、大綱には「課税売上高の金額に代えて所得税法に規定する給与等の支払額の金額を用いることができる」との記載があることから、従業員数の少ない個人事業主や中小企業の場合には、この特例により課税事業者を回避できるケースも多いと思われる。尚、この特例を使う場合には、届出書の提出等が措置されるようである。上記の改正は、平成24年10月1日以後開始事業年度から適用される予定である。

課税売上割合95%基準の見直し

もう1つは、課税売上割合95%基準の見直しである。現在の消費税法では、課税売上割合が95%以上の場合、課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除できる取扱いとなっている。今回の改正により、上記の取扱いがその課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限定されることとなった。改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用される予定である。該当する事業者については、課税売上高に要する課税仕入れ、非課税売上高に要する課税仕入れ等を区分経理することが求められるため、早目に準備しておきたい。

税務ニュース№206


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