平成23年度税制改正、平成23年4月1日以後の相続に影響、基礎控除が4割減

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

相続・贈与

2010.12.21


平成23年度税制改正大綱が12月16日に臨時閣議で決定された。今回は、そのうちの相続税の改正内容についてお知らせする。(ただし、国会を通過するまでは確定ではありませんので、ご了承願います)

改正の背景

相続税は格差是正・富の再分配という役割を果たしている税金である。相続税の基礎控除は、バブル期の地価急騰による相続財産の価格上昇に対応した負担調整を行うために引き上げられてきた。しかしながら、その後、地価は下落続けているにもかかわらず、基礎控除の水準は据え置かれていた。そのため相続税の課税割合(年間課税件数/年間死亡者数)は、昭和62年は7.9%、平成3年は6.8%、平成5年は6%、平成20年は4.2%まで低下している。

また、最高税率の引き下げを含む税率構造の緩和も行われてきた結果、相続税の再配分機能が低下している。

そこで、課税ベースの拡大を図り、税率構造を見直すことにより、相続税の再配分機能を回復し、格差の固定化を防止する必要があることから、今回の改正内容となった。

基礎控除及び税率構造

現行の基礎控除は「定額控除5,000万円+比例控除1,000万円×法定相続人数」で求める。

改正内容は、現行から4割減額した「定額控除3,000万円+比例控除600万円×法定相続人数」で求めることになる。例えば、法定相続人が妻と子供2人の場合、現行は「5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円」までの課税財産なら相続税は課税されない。ところが、改正により「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」に引き下げられる。

また、高額の遺産取得者を中心に負担を求める観点から、最高税率を50%から55%に引き上げる。

死亡保険金の非課税措置

死亡保険金の非課税措置については、「相続人の生活安定」という制度趣旨の徹底の必要性や他の金融商品との間の課税の中立性確保の要請等を踏まえ、算定の基礎となる法定相続人の範囲を縮減する。

現行は、「500万円×法定相続人数」で求めるが、改正により「500万円×法定相続人数(未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る)」という条件が付く。例えば、法定相続人が妻と子供2人(別生計)の場合、現行は「500万円×3人=1,500万円」まで非課税であるが、改正により「500万円×1人=500万円」に縮減される。

未成年者控除・障害者控除

相続税額から一定額を差し引く未成年者控除・障害者控除については、控除額が長年にわたって据え置かれてきており、物価動向や今回の相続税の基礎控除等の見直しを踏まえ、引き上げる。

未成年者控除については、現行、20歳までの1年につき6万円が10万円に引き上げられる。障害者控除については、現行、85歳までの1年つき6万円(特別障害者については12万円)が10万円(特別障害者については20万円)に引き上げられる。

これらの改正は、平成23年4月1日以後の相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される。

平成22年度改正で小規模宅地等の課税の特例が制限され、さらに今回の基礎控除の削減等により、相続税の試算を見直す必要があるだろう。

税務ニュース№205


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