初公開!【6-3-3で12個の決算対策】パート4

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


前回「初公開!【6-3-3で12個の決算対策】パート3」

今回は、「6-3-3で12個の決算対策」のうち3番目の項目である「銀行格付対策」について解説をしていきます。

銀行の融資姿勢の変化

以前でしたら、銀行からお金を借りようとする場合、担当者や支店長の裁量が多分にあったように思います。
であるからこそ経営者は、支店長とゴルフに行ったり、担当者と飲み食いしたりしてきたのですよね。

それが数年前から、銀行の融資姿勢が大きく変化しました。
つまりは、支店長や担当者の裁量部分が大きくカットされ、企業の決算書を点数化することによる「格付融資」が主流となりました。

これは都市銀行に限らず、地方銀行や信用金庫まですべての金融機関で起こっていることです。

経営者として今「銀行との付き合い方」で大事なのは、ゴルフや飲み食いではなくて(お付合いは大事ですが)、ずばり「決算書の良し悪し」です。

格付融資とは?

しかし決算書が大事とはいえ、決算書のような定量的評価だけで、格付(銀行からみた融資先企業のランク付け)が決まるわけではありません。

おおまかには、格付審査の7~8割部分が定量的評価(つまり決算書による評価)で、残り2~3割部分が定性的評価といわれています。

ちなみに、定性的評価とは以下のような項目です。

・市場動向はどうか?
・競合状態はどうか?
・経営者の資質は?
・業歴はどうか?
・営業基盤はどうか?

市場動向、業歴や営業基盤など数値化しにくい項目について、評価しています。

特に覚えておいてほしいのは、「経営者自身」というのも、銀行は結構みているということです。
もちろんかっこつける必要はありませんが、自身の良い部分をさりげなくアピールしておくことは良い事かもしれませんね。

格付アップ7つの方法(決算対策)

銀行融資においてとても重要な格付ですが、それではどうやって格付アップを狙っていけばいいのでしょうか。

<格付アップ7つの方法>

1.DESをすれば格付アップ
DESとは、デット・エクイティ・スワップの略で、ここでは「社長借入金を現物出資することによって資本金に振り替えること」を指しています。
結果、自己資本比率が向上します。
ただし、資本金が増加することによるデメリット(費用面や税制面)も考慮して実行してください。

2.決算書にお化粧して格付アップ
最終利益が変わらずとも営業利益が大きいと格付が上がる可能性があります。
そのためには、損益計算書上、「収入はなるべく上に、費用はなるべく下に」というのを心がけるといいです。

3.定期預金を解約後、借入金と相殺して格付アップ
総資産が圧縮され自己資本比率が向上するので、格付が上がる可能性があります。

4.回収サイトの短縮化等を図り、運転資金の借入残高を減らして格付アップ
売掛金の回収サイトを半月でも短縮してもらうと、現在借りている借入金が必要なくなる場合があります。
そうすると借入残高が減少して支払利息が減少するだけではなく、格付アップにもつながります。

5.決算書の勘定科目内訳書を正確に作って格付アップ
銀行は決算書の勘定科目内訳書をみてモニタリングを行っています。
例えば、税理士さんなどにつくってもらっている勘定科目内訳書が、売掛金の項目で相手先ごとに区分されずその他××円と一括表示となっているようでしたら要注意です。
銀行さんに良い印象をもってもらうことも重要ですから、ぜひ決算書の勘定科目内訳書は明細がきちんと書かれている形で正確に作成されることをお勧めします。

6.役員貸付金を役員報酬と相殺して格付アップ
決算書に役員貸付金(又は仮払金)があると、銀行は非常に不安視します。
というのは、もし銀行がその会社に融資しても、そのお金が貸付金や仮払金という科目を通じて社外に出て行くかもしれないと思うからです。
ですから決算書に役員貸付金がある場合は、役員報酬を増額することによって毎月の給料支給時に貸付金返済することをお勧めします。

7.あなたの会社を銀行に知ってもらうことによって格付アップ
例えば、銀行にいわれる前に、こちらから決算書を銀行に提出すると良い印象を与えるでしょう。
さらには、今期の事業計画なんかも添えるといいですね。
要は、銀行も自社にとっての大事なステークホルダーであるととらえて行動すると格付審査上の定性評価が上がる可能性があるということです。

おわかりいただけたでしょうか?
ぜひ経営者の皆さんは、決算3ケ月前に「銀行格付対策」を検討して下さいね。

次回は、「良い節税対策」をお届けする予定です。お楽しみに。


参考【6-3-3で12個の決算対策】

<決算3ケ月前にやるべきこと>
1.決算利益予測・法人税等予測
2.来期事業計画の策定
3.赤字対策(銀行格付対策)
4.黒字対策(良い節税対策)
5.消費税納税予測
6.事業承継対策

<決算1ケ月前にやるべきこと>
1.来期消費税計算方法の選択
2.社長報酬一部損金不算入対策
3.来期管理会計の導入準備

<決算時・後にやるべきこと>
1.来期役員報酬の決定
2.チェックリストの添付
3.剰余金の処分

今日の話が少しでも経営者の皆様のお役に立てれば幸いです。

次回「良い節税とは?【6-3-3で12個の決算対策】パート5」

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