法人税が9割引になる?!

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


特別償却と税額控除

新たに設備投資をした場合、要件を満たせば、税務上「特別償却」又は「税額控除」を選択することができます。
「特別償却」は、通常の減価償却とは別枠で、さらに減価償却費を上乗せできる制度です。経営強化税制を使えば、事業の用に供した事業年度で、取得価額全額を即時償却することも可能です。

ただし、「特別償却」は減価償却費の前倒し計上ですので、トータルで計上できる減価償却費は変わりません。

一方で、「税額控除」は、取得価額の7%や10%などの一定額を直接、法人税から減額することができます。その上で、通常の減価償却費も計上できますから、かなり有利な制度であることがお分かり頂けると思います。

と、ここまでは、一般的に行われる説明です。
決して間違いではなく、正しい説明なのですが、実際には、それでも即時償却などの特別償却を選択する場合があります。

それはそれでまた、合理的な判断です。
というのも、「今、支払う税金」と「将来、支払う税金」では、金額が同じでも、その価値は決してイコールではないからです。

他人に貸したお金を返してもらう場面を考えると、理解しやすいかもしれません。
1ヶ月後に全額を返金してもらうのと、10年かけて分割で返済してもらうのとでは、どちらを選びますか?
返済金額が同じなら、当然前者を選びます。

それは、特別償却でも同じ話です。
将来に減価償却を繰り延べても、節税できる税金に金利がつかないなら、今すぐ即時償却で節税したいというのも、またアリです。

税額控除の”上限”の意味

税務上適用できる税額控除には、いろいろな制度があります。
中小企業でよく使われるものは、経営強化税制、中小企業投資促進税制、研究開発税制、所得拡大促進税制などです。

これらの制度には、共通して、それぞれ控除できる税額の上限が定められています。

例えば、経営強化税制については、中小企業投資促進税制などの同種の他制度と合わせて、法人税額の20%となっています。
では、どんな場合でも、法人税額の20%までしか控除できないのかというと、そうではありません。
経営強化税制、研究開発税制、所得拡大促進税制など、使える税額控除をフル活用して、全て適用したとします。それで、法人税は最大どこまで減らすことができるでしょうか。

実は、法人税額の90%まで税額控除は認められています。つまり、法人税が9割引、当初の10%にまで減らすことができるということです。

大企業の実効税率が中小企業よりも低い、と言われる理由はここにあります。
中小企業の皆さんも、ぜひ活用できる制度を有効に利用して頂きたいと思います。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№610


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