海外勤務になった場合

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


まだまだ侍JAPANがWBC優勝の興奮冷めやらぬ日々ですが、今大会には日本人メジャーリーガーもメンバーに入っていましたが、普段は日本国内ではなく、海外でプレーしているため、実際に住んでいるのは海外ということになります。

スポーツ選手の場合は、ほとんどが自営業者としてですが、一般的に会社員として海外支社等への転勤となることもあります。

新型コロナウィルスの影響で長らく海外へ行けなかったということもあり、海外勤務から帰国していた方もいましたが、最近では海外出張、海外転勤という話もちらほらと聞きます。

単純に海外に行くとなると、どうなるの?という疑問について少し考えてみました。

居住者と非居住者

海外出張の場合なら特に気にすることはありませんが、海外転勤となると、まず住む場所が日本から海外へ変更となり、所得税法上『非居住者』となる場合があります。

『居住者』は日本国内に住所を有し、現在まで引き続き1年以上居所を有する人のことをいいます。それ以外の人が『非居住者』となります。

では、実際にはどのようにして『居住者』『非居住者』の判定をすればいいのでしょうか。

住所の推定

ここで、住所の推定をしないといけません。

国内に住所を有するものと推定する場合は…

1、その者が国内において、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
2、その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して1年以上居住するものと推測するに足りる事実があること

国内に住所を有しないものと推定する場合は…

1、その者が国外において、継続して、1年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
2、その者が外国の国籍を有しまたは外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業および資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと

何やら難しいので、簡単にいうと、1年以上国内に住所があるのか、ないのかということですね。

所得税の精算方法

1年以上海外勤務となる場合には『非居住者』となるため、『居住者』であった期間の所得税を清算してから出国することになります。

会社員の場合、会社で年末調整することにより清算します。
他の所得があり、確定申告をしなければならない人の場合は納税管理人の届出をし、通常どおり確定申告をしていくことになりますが、納税管理人の届出をしない場合は、出国するまでに確定申告をする必要があります。

非居住者の所得税について

『非居住者』となった場合、海外勤務での給与について、日本の所得税はかかりませんが、法人の役員として海外勤務している場合は日本国内で生じたものとして、20.42%の税率で所得税がかかってきます。
ただし、役員であっても、使用人として常時海外において勤務を行う場合には、その勤務に対する給与については所得税はかかりません。

また、海外勤務期間1年以上の予定であったにもかかわらず、1年未満で帰国する場合、『非居住者』となるのは、期間があきらかになった日以後は『居住者』となり、逆に1年未満の予定が1年以上となった場合、同じく期間があきらかになった日以後で『非居住者』となります。
出国時に遡及してということはありません。

最後に

今回は所得税についてのみ触れましたが、住民税や社会保険、年金等もそれぞれ手続きが必要になります。

海外勤務だけでなく、リタイヤ後に海外移住を考えている方もいらっしゃると思います。
その場合『非居住者』となることが大半であることから、出国前には納税管理人の届出をするか、確定申告をしないといけないということになります。

国内での転勤とは違い、手続きだけでも大変なので大抵の場合、準備期間が1か月ほどあるということにも納得です。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№840


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