企業グループ間の取引に係る書類保存の特例

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。

企業グループ間の取引に係る書類保存の特例とは?

令和8年度税制改正大綱において、企業グループ間の取引に係る書類保存の特例制度が新設されました。

『内国法人が関連者との間で特定取引を行った場合において、その取引に関して、取引関連書類等にその取引に関する資産又は役務の提供の明細、その取引においてその内国法人が支払うこととなる対価の額の計算の明細等のその取引に係る対価の額を算定するために必要な事項の記載又は記録がないときは、その記載又は記録がない事項を明らかにする書類を取得し、又は作成し、かつ、これを保存しなければならない。(引用:財務省「令和8年度税制改正の大綱」https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/20251226taikou.pdf)』

整理すると、対象となるのは、
・「内国法人」が
・「関連者」との間で
・「特定取引」を行った場合において、
・取引関連書類等に、一定の特定事項の記載がないとき

やるべきことは、
・記載がない事項を明らかにする書類を取得、作成、保存
となります。

特定事項とは?~何を記載しておかないといけない?

「内国法人」=青色申告、白色申告問わず全ての内国法人

「関連者」=内国法人、外国法人問わず、法人で内国法人との間に持株関係や実質的支配関係、それらが連鎖する関係の特殊の関係のあるもの等

「特定取引」=「関連者」が「内国法人」に対して行う次の取引
※売上原価となるものは対象外

(1)工業所有権等の譲渡又は貸付け

(2)役務提供

イ 次のいずれかに該当する事業活動に要する費用の全部または一部を役務被提供者が負担することを定めている契約等に基づき行うもの
A 役務提供者が有する産業、商業又は学術に関する知識経験その他の役務提供者が有する経営資源を活用して行われる研究開発、広告宣伝その他の事業活動
B 専用資産を役務被提供者に使用させる行為並びにその使用に係る専用資産の維持及び管理
ロ 役務提供者が役務被提供者に対して行う経営の管理又は指導、情報の提供その他の役務提供で役務提供者が有する産業、商業又は学術に関する知識経験に基づき行うもの
ハ イロの役務提供に類するもの

「特定事項」
特定取引(1)=工業所有権等の明細、工業所有権等の内国法人において果たす機能、対価の額の明細及び対価の額の設定の方法
特定取引(2)イ=事業活動の内容、内国法人が負担することとなる費用の額の計算の方法
特定取引(2)ロ、ハ=役務提供の明細及び内容、役務提供に係る対価の額の明細及び計算の方法

罰則は青色申告取消

重要なことは、この規定が守られていない場合、青色申告の取消になるということです。それだけ重みのある規定になりますので、必ず確認するようにしてください。

最後に、実務上の注意点をいくつかまとめておきます。

関連者は法人が対象ですので、社長との取引はこの規定の対象外となります。

特定事項は、1つの書類に全て記載されている必要はなく、複数の書類の組み合わせでも大丈夫です。

また、対価の額の明細や設定方法などが特定事項として記載の対象となりますが、その対価の額が第三者取引と比較して妥当であることの理由や説明は記載不要です。

この規定は、令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用となります。

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

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