中小企業向け所得拡大促進税制が大幅拡充(平成29年度税制改正大綱)

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


平成28年12月8日に「平成29年度税制改正大綱」が発表された。今回はその中から、所得拡大促進税制の改正についてお送りする。

拡充の背景

中小企業にも賃上げの動きの広がりが見られるものの、依然大企業とは差がある状況である。こうした状況を踏まえ、中小企業による更なる賃上げを後押しし、経済の好循環を強化する観点から、所得拡大促進税制について高い賃上げを行う中小企業に対して、大企業を上回るインセンティブの強化を行う。

平成29年度に高い賃上げを行う企業に大幅拡充

所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している法人が、下図の3要件の全てを満たした場合に、雇用者給与等支給増加額の10%を法人税額から控除(法人税額の10%上限、中小企業者等の場合は20%上限)できる制度である。

今回の改正において、【要件①】と【要件②】については変更がないが、【要件③】に新たに「平均給与等支給額が前年度比2%以上増加」が加えられ、大企業と中小企業との間に差が設けられている。ちなみに平均給与等支給額とは、適用年度の継続雇用者1人当たりの平均給与のことである。

まず中小企業向けとして、【要件③】平均給与等支給額が前事業年度を上回り、さらに前年度比2%以上増加した場合には、控除税額が現行における(1)と新たに設けられる(2)の合計額となる。

(1)     雇用者給与等支給増加額の10%
(2)     雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%。 
なお、中小企業の場合は前年度比2%未満であっても、現行の10%税額控除を適用できる。

一方、大企業向けとして、平均給与等支給額が前年度比2%未満の企業については、この制度の対象外とされるが、前年度比2%以上の企業については、中小企業向けの12%が2%に下がり上乗せされる。

この所得拡大促進税制の改正によって、賃上げ企業に対して大幅なインセンティブは用意されたが、実際には法人税額の10%(中小企業者等の場合は20%)の条件があり、そもそも法人税等を納付していることが条件となる制度である。しかしながら、サービス業を始めとする多様な業種で活用でき、固定給ではなく賞与でも対応可能であるため、中小企業においても活用しやすい制度であろう。

出典元:中小企業庁 平成29年度税制改正の概要について

(注)今回の内容は、国会を通過するまでは正式な確定事項ではありませんので、ご了承願います。

税務ニュース№452


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