中小企業向け賃上げ促進税制 5年間繰越控除へ

(注)執筆当時の法律に基づいて書いていますのでご利用は自己責任でお願いします。


中小企業向け賃上げ促進税制とは?

中小企業向け賃上げ促進税制とは、青色申告書を提出する中小企業者等が、前年度より給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除してくれるという制度です(今回は法人税で説明します)。

【必須要件】
雇用者給与等支給額が前年度と比べて

□1.5%以上増加していること
→控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額から控除
    
□2.5%以上増加していること
→控除対象雇用者給与等支給増加額の30%を法人税額から控除

【上乗せ要件1】
教育訓練費の額を前年度と比べて5%以上増加させて、適用事業年度の教育訓練費の額が適用事業年度の雇用者給与等支給額の0.05%以上であること
→税額控除率を10%上乗せ

まだあります!

【上乗せ要件2】
子育てとの両立支援、女性活躍支援の積極的な企業として認定を受けていること
→税額控除率を5.%上乗せ

すべての要件を満たすと、控除率は(30%+10%+5%=45%)となります。

ただし、控除額は法人税額の20%が上限です。

これまでは、頭打ちである法人税額の20%上限に達している会社については、「切り捨てご免」でしたが、令和6年4月1日開始事業年度からは、5年間の繰越控除制度が新設されています。

5年間の繰越控除とは?

上記の要件を満たす賃上げをした年度に控除しきれなかった金額については、翌年度以降に5年間の繰越控除が可能となります。

また、繰越控除措置を適用する場合にも、要件があります。

まずは、繰越税額控除を受けようとする事業年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(適用事業年度の前事業年度のもの)より増加している場合に限り、適用可能です。

そして、

(1)未控除額が発生した事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書  及び

(2)繰越税額控除措置の適用を受けようとする事業年度の確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して、提出する必要があります。

法人の場合、繰越税額控除限度超過額の明細書と繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書の書類が異なります。

(1)の明細書が提出されていない場合、未控除額は繰り越されず、繰越税額控除を適用できませんので、ご留意ください。

5年の繰越控除はインパクト大ですので、忘れずに適用しましょう!

詳細はこちら
◇中小企業庁HP|中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック-令和6年4月1日以降開始の事業年度用-(個人事業主は令和7年分以降用)
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai/chinnagesokushin06gudebook.pdf

この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。

メール通信№937


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